4話 仮免冒険者 後編

早朝、俺とロゼリアとラゼリアで2階の部屋に来ていたのだがロゼリアも部屋の汚さに唖然とした顔で俺を向いて言った。


「ここ、本当に使いたいの?」


俺は「勿論」と答えると「ピロト早くやろうよ」と俺の裾を引っ張るラゼリア。


「そうだな、とりあえず俺はバケツに水を汲んでくる」


バケツを持って1階に降りていく俺の姿を見てロゼリアは前を向いて呟いた。


「汚すぎる・・・」


ーーーーーーーーーーーーー

俺は大広間にあるキッチンで水を汲んでいると大広間からドンドンドンという音が聞こえたので近くにあった鍋蓋と菜箸を両手に一つずつ持って大広間に出た。


「まさか泥棒とか・・・?」


そう言いながらも耳を頼りに音のする方へと歩くと一人くらいは入れるほどの大きさの縦長の箱、いやこれは掃除用具入れと言った方がいいだろうか、と俺は考えているとドンドンドンという音が聞こえてきた。


「これか・・・よし、開けるぞ・・・」


覚悟を決めた俺はそっと掃除用具入れを開けると、誰かが俺に向かって倒れてきた。


「いたたた・・・」


俺は床に強く頭を打ち、頭を押さえながら起き上がると口に布をつけられて手も後ろで縛られた少女が涙目で「ん~!!」と俺に何かを伝えたいようだったので布を外してみると何故か俺に抱きついてきた。


「私を助けてくれてあ、ありがとうなのです!」


「お、おう・・・どうしてここに居たんだ?」


俺は少女に掃除用具入れの中に居た理由を問うと涙ながらに少女はこう語った。


「私がここに来た時・・・」


ある程度の話を聞いたところ、リネアとロゼリアはライバルでどちらが本物の魔法使いか争っていたという、とある雨の日、リネアは大広間のドアを強く開くとリネアは目の前にキレ気味のロゼリアが居る事に気づいて「やばい」と思ったのか数歩数歩と後ろに下がり、隙が出来た時に逃げようとしたがリネアは行動に移せずにロゼリアの拘束魔法「リバインド」で捕まり、掃除用具入れに突っ込まれたらしい。


「ああ、大体わかった。てか飯とか何日くらい食べてないの?」


「大体・・・2週間?」


「はぁ!?2週間とか普通なら死んでるぞ」


俺はリネアの生命力に驚いてしまった、人間は我慢すれば断食ぐらいできるだろうが最低1週間が限界だと思うがそれに比べてリネアは人間を超えて超人と言えるほどの生命力をお持ちの方らしい。


「てか何歳なんだよリネアは」


「17ですよ、ロゼリアと同じ年齢なのですよ」


こうやって男性の前で歳を普通に言えるリネアに俺はリスペクトしちゃいそうだが、しかしリネアとロゼリアの身長の差が開きすぎているリネアは大体170cmくらいに対しロゼリアは155cmくらいの低さなのである、しかも貧乳ロゼリア巨乳リネアという・・・。


「はぁ・・・年齢が同じと言えど成長には個人差があるんだなと実感したよ」


「まあ、健全な男性ならそう思いますよね」


リネアは苦笑いをしながらも麦茶を飲み干すと「ロゼリアは何処なのです?」と聞かれたのでリネアも一緒に部屋掃除を手伝ってもらうことにした、何も考えずに。


「とりあえずリネアはロゼリアに謝ってからな」


「そうですね、ヒロトさん」


俺はとりあえず何かが起こらないを祈りながらも階段を上るとロゼリアが奥の部屋から出てきた。


「ヒロト何処にい・・・何故リネアがここに」


ロゼリアの顔の表情が急に変わり、俺の表情もヤバい方の表情に変わる、もうこれは北欧神話のラグナロクよりヤバい展開になっている。


「久しぶりねロゼリア、じゃあ今日は掃除で勝負しましょう」


「いいですね、負けませんよ」


巨乳リネア貧乳ロゼリアで火花を散らしながら始まった掃除対決に俺は無言で1階に降りると階段の横に居たラゼリアが俺に絵本を渡してきた。


「読んであげるよ、おいで」

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仮免冒険者とドレッドカード 朝比奈なつめ/帰宅部部長 @Asahina_natume

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