3話 仮免冒険者 前編

仲間になったロゼリアと妹のラゼリアと共にロゼリアの家へと向かっていたのだがその途中、ラゼリアが立ち止まって言い放った言葉が。


「疲れた、ピロトおんぶ」


と何故か俺におんぶしろと言うラゼリアさんな訳ですが小さい子に「おんぶ」と言われたら皆さんはどう対処するんだろうか。


「いいけどさその呼び捨てでピロトはやめてほしいんだけどなぁ」


俺は対処の仕方が分からないけど分からないなりにとりあえずそう言いながらもラゼリアを持ち上げると右肩に乗せてみた。


「ムフフ〜ピロトの肩は気持ちいい♪」


なんか機嫌が良さげなラゼリア、まあいいけど。


「すみませんヒロト、妹のわがままに付き合ってくれて」


「いいんだよ、こういうの慣れっこなんだ」


笑顔でロゼリアに言い返していると俺の右肩の上で「ピロト戦車だ~」と言いながらはしゃいでいるラゼリアに「あまり揺らすな」と注意しながら道を歩くことおよそ30分。


「ここが私達の家です」


立ち止まったロゼリアが指す方向に俺は顔を向けるとそこにはなんと豪邸があった。


「うぉぉぉぉ!豪邸じゃないかぁぁぁ!」


俺の中では一瞬馬小屋で寝かされるのかと思っていたがそれと大きく予想が外れてなんとこのすんばらしい豪邸がロゼリアとラゼリアの住処らしい。


「マジでいいのか?」


(いつの間にそこに居たんだ・・・)


俺は玄関のドアの前で手をわなわなさせながらロゼリアにもう1度聞いてみると呆れた顔でため息をついたロゼリアが言った。


「さっきヒロトと仲間の契約をしたじゃないですか、別にそんなに緊張しなくても」


「待てよ待てよ、豪邸に住めるとかリアルでは有り得ないし俺の異世界ライフはまだ崩壊していないッ!」


ロゼリアの話を聞かずに独り言をドアの前で話すこと2分、ロゼリアが咳払いをして


「ヒロト置いてきますよ」


と言い我に返った俺はいつの間にかドアが閉まろうとしているのに対し


「え、ちょっとそれ酷すぎっしょ!?」


と慌てながらもそしてちゃんと突っ込みながら家の中へと入っていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「凄く広いな、2階とか行ってもいいか?」


俺は玄関の近くにある階段に視線を向けて指さすとロゼリアは「ええ、でも私達にはこの大広間と風呂場以外は使わないので2階とか行ったことないんで何があるかは分かりませんよ」と答えたロゼリアは暖炉の前にある椅子に座った。


「てかさロゼリア、ラゼリアに関してはどうすれば?」


「私が預かりますよ」


俺の肩でスヤスヤと可愛い寝息を立てながら眠っているラゼリアを俺は肩から降ろしてロゼリアの膝の上に寝かせて大広間から出ると玄関の近くにあった階段を上がった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「2階は全部屋使われていないっと・・・あ、でも俺は2階でもいいかも」


2階の部屋に入っては使われていないかを確認しているロゼリアとラゼリアの家の1階には3部屋、2階にも3部屋あり俺はロゼリアに頼んで2階の奥の部屋を使わせてもらおうかと考えていた。


「うわ、埃ヤバい」


俺はどんな部屋かみたいと思い奥の部屋に入ってみると机と椅子には蜘蛛の巣が貼ってあり、しかも埃だらけでこの部屋が本当に使えるのか不安になるほど汚なかった。


「これは掃除しないとヤバいな」


俺はロゼリアに話した後に掃除用品を借りて掃除にすることにしたのだが、まさかさっきの部屋に人が居るなんて俺は予想もしていなかった――。

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