第12話 You're the voice


拍手がなかなか収まらない。

みんな空を見てる。空は嬉しそうだ。

ステージにあがると堂々としてるな。

天性の度胸だろう。

あおいと美里が空を撫で回す。

「空ちゃんすごーい!ほんと。よくあんな歌うたえるよね?カッコいい!」

あおいが興奮気味にまくしたてる。

俺の前に部長が来て

「蒼音くんの言う通りだよ。君たちのプレイなら世界に通用する。こんなところに埋もれてるのはもったいないよ。僕たちとしては、ずっと居て欲しいけどね。」

メンバー全員がうなずく。

「ありがとうございます部長。でもまだまだですよ。空の歌も俺の音もまだまだこんなもんじゃない。だって本当にさっきの曲が初めてなんですから。もっとよくなるし、空の歌は本当はもっとすごいんです。」

聡が来て

「蒼音くん?本当にさっきの曲初めて演ったの?一度も合わせてないの?」

「あぁそうだよ?加えて言うなら、実はAloneなんて弾いたこともないんだ。」

一同が驚く

「えぇっ?! じゃあなんで弾けるの?! っていうか、なんで二人とも一度も止まらずにあんなに息ぴったりに最初から最後まで演れるの?意味が分かんない。」

俺は空と顔を見合わせてちょっと笑う。俺は空に

「空はなんで間違えない?なんで初めてなのに、俺と息ぴったりに最初から最後まで歌えるんだ?」

空は目を閉じて、胸に手を当て言う。

「それは蒼音を信じてるから。私がうたいたいように支えてくれるって信じてるから、絶対に止まったりしない。

私の行きたいとこに、必ず蒼音の音があるって信じてるから、私は真っ直ぐに自分のうたいたいようにうたうの。それだけ。」

俺は聡を含めてみんなを見渡して

「…だってさ?俺も同じだよ。空の行きたいところは、俺が行きたいとこなんだ。バンドってそういうもんだよ?みんなが行きたいとこは、みんなちゃんと分かるんだ。嫌々プレイしてたり、一生懸命コピーしてるんじゃなきゃね。空を信じてるから、俺は自由に弾ける。それだけなんだ。聴きたい音が同じだから、絶対に止まったり間違えたりしない。」

部長とコージ先輩とかおり先輩がうなずく。

聡は

「そもそも、なんで弾いたことない曲が弾けるの?! ほら?たまにプロの人とかセッションで譜面も無いのに人の曲をすらすら弾いてるよね?あれと同じ事蒼音くんはやってる訳だよね?どうやってんの?」

「聡の言いたいこと何となくわかるよ。それを一言で言うなら、“経験がすべて”だな。すべての曲はある法則で作られてるんだけど、その法則を覚えて経験さえ積めば、どんな曲でも初弾きで最初から最後まである程度は弾けるんだ。今度ゆっくり教えてやるよ。わりと簡単なんだぜ?」

「ありがとう!楽しみが出来たよ!僕も蒼音くんみたいに何でも弾ける様になりたいから。」

「さて、そろそろ違うスタイルで演ってみようか?空の本当の凄いとこみんなに聴いてもらいたいしな。」

「うん!蒼音何うたって欲しい?何でもいいよ?」

「さっきはパワーバラード演ったから、今度はちゃんとアコースティックなお前の澄んだ声が聴きたいな。……これは?知ってる?」


─♪──♪─♪──♪─♪──♪─


「You're the voice?!

Do you like thatあなたも好きなの?! wow! that's my amazing私のすっごく好きな歌よ!!」

「はは。I like this song俺もすっげー好きな amazing too曲なんだよ!!」

「……May I sing歌ってもいいの?! 」

WhyなんでSure.いいよ make your dayやってやれよ!」

my Goddess!あぁ神様its just a dream夢みたいamazing信じられないわ!!」

「そんなに喜んでもらえたら俺も嬉しいよ空。」


美里が眉間にシワ寄せてあおいに「……蒼音くんって英語しゃべれたのね?長い付き合いだけどぜんぜん知らなかったわ…。」

「でしょ?英語の成績もずっと悪いのにね。ふふふ。よくおじちゃんの海外ツアーについて行ってたから。」

部長たちも

「僕たちにも聞き取れないよ?ネイティブの発音は分かんないからね。盛り上がってんのは分かるけど。」

「カッコいいー蒼音くん。私にはちんぷんかんぷんだけど。」


「じゃあみんなにも歌ってもらおうかなぁ。練習しよう。演ってみるから空?サビ歌って。みんなは俺の歌うとこを一緒に歌ってよ!あおいも美里も万由ちゃんも!先輩たちもギャラリーのみんなも!歌おうぜ!みんないくよ!」


─♪♪─♪─♪──♪─♪♪─♪─


You're the voice

try and understand it

Make a noise and make it clear!

みんな!

Oh-o-o-o! whoa-o-o-o!


We're not gonna sit in silence

We're not gonna live with fear

みんな歌って!

Oh-o-o-o! whoa-o-o-o!


You're the voice, try and understand it

Make a noise and make it clear!


Oh-o-o-o, whoa-o-o-o!


We're not gonna sit in silence

We're not gonna live with fear!


Oh-o-o-o, whoa-o-o-o!


「みんな上手いよ!このまま行くよ?みんなで歌おうぜ!空いくぞ!」

「Yeah!!I got it♪」


♪─♪♪─♪─♪♪─♪─♪♪─


****************



僕たちにはページをめくる機会が与えられている。

書きたいことを書くことができる。

僕たちが終わらせなきゃいけないんだ。

年老いてしまう前に。


みんな誰かの娘で

みんな誰かの息子なんだ。

いつまでお互いを見ていられるんだ?

互いに銃を向け合ったままで。


君は声なんだ。

どうか分かって欲しい。

世界に高らかにノイズをたてて、

すべてをクリアにするんだ。

黙って座ってるのなんて嫌だ。

脅えながら生きるのなんて嫌なんだ。


今ならみんなで立ち上がることが出来る。

強くなるための力を手にして

もっと良くすることが出来ると信じて


みんな誰かの娘で

みんな誰かの息子なんだ。

いつまでお互いを見ていられるだろう?

銃を向け合ったまま


君は声だ。

ちゃんと考えて欲しい。

高らかに主張してすべてを明らかにしよう。

黙って座ってるのなんてごめんだ。

脅えながら暮らすのなんかごめんだ。


****************



透き通った純水の様な声。

線の太いパワフルなハイトーン。

やっぱ空の声は最高だ!

ほんっと楽しそうに歌うなぁ。

俺も行こう!


「空? 暴れようぜ!」

空が嬉しそうに手を拡げて俺の前でくるくる回る。


You're the voice

try and understand it!

Make a noise and make it clear!


みんな歌え!

Oh-o-o-o!

whoa-o-o-o!


We're not gonna sit in silence

We're not gonna live with fear!


もっと大きな声聴かせろ‼

Oh-o-o-o!

whoa-o-o-o!


空も頭の上で手拍子して

足を踏み鳴らし

リズムを取ってみんなをあおる。


You're the voice!

try andunderstand it!

Make a noiseand make it clear!


最後!歌え!

Oh-o-o-o!!

whoa-o-o-o!!


ギターを止めて、みんなの手拍子と足踏みだけで、空が笑顔でくるくる回りながら歌う。


We're not gonna sit in silence!

We're not gonna live with fear!


Oh-o-o-o!!

whoa-o-o-o!!


そして最後の空のフェイク。

廊下中の先生や生徒を巻き込んだ大合唱は幕を閉じた。


Woh─Wo─Woh─oo─yeah

You're the voice!


そう言ってみんなに手を拡げて、弾ける様に笑った空がみんなの拍手の波に包まれる。


俺が空に向かって手を拡げると、空は真っ直ぐに腕の中に飛び込んで来た。

空の耳元に。


You're the my voice君は俺の声だ空。

I will be俺は your sounds君の音になるよ

Sing a song together一緒に歌をうたっていこう now and foreverいつまでもずっと

すると空は、顔を上げて泣きながらにっこりと微笑んで言った。


I missed you so much逢いたかった… 蒼音。

Thanks for find me.私を見つけてくれてありがとう  I love you 愛しているわ.」


賛辞をのせた拍手はいつまでも校舎に鳴り響いた。



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