第6話 Introduction.─in the Blue Note&あおいのおと─



SEが流れだす。

会場は割れんばかりの拍手と歓声。

次々とメンバーがステージへと上がってくる。


「凄い‼ みんな耳が痛いくらい叫んでるね?」


「みんなゼラスのファンなんだろうな!やっぱすげぇよ!」


神野さんと三上さんがステージで握手を交わしてお互いのポジションにつく。

ん?ギタリストは?シンガーも居ないみたいだな?


神野さんがマイクを持った。


「みんなありがとうな!

ったく。完全にシークレットだったのに、どこで調べたんだよお前ら?」


「ネットー!」

「ツイート!」


会場からどっと笑いが起こり、口々に客が叫ぶ。


「ツイートかぁ。暗号で書かなきゃなんねーなぁ。ははは。」


「おかえりなさーい!」

「おかえりーきょうへーい!」


みんなほんとに嬉しそうだ。涙ぐんでる人もいる。


「おーただいま~!って言っても今日は昔の曲やんねーぜ?俺ら遊びに来たんだ。まぁカバーバンドだけど一切原曲通りには演んねーけどな。いいよな?お前ら?」


会場から怒号のような声援が飛び交う。

純粋にまた逢えたことを喜んでるんだろう。


「今日は見ての通り、俺と涼二だけだ。

でも、遊ぼうぜって軽く声をかけたらはるばるアメリカからサポートにバカ野郎が駆けつけてくれたぜ‼

ビルボードチャート常連バンド、お馴染み『Tyrant』の世界一のキーボーディスト、キース・アレンだ!みんな拍手!」


「──────────♪」


「あおい?すげぇよ! タイラントのキースさんだぜ?! ヤバい‼ ヤバ過ぎる‼」


「そんなに凄いひとなの?」


「出すアルバムはすべてダブルプラチナのビッグアーティストだよ!全米全英No.1に何度もなってる‼」


「ひゃぁぁあ!凄い‼ そーとも演りたいでしょ?一緒に?ふふふ。目がキラキラしてるよ?」


「あ あったりまえだ! こんな凄いメンバーと演れるならメシ一週間は抜いてもいいぜ‼」


キースさんを知ってる客からタイラントのリクエストがかかってるけど、キースさんは笑顔でマイクを取り、


「ニホンのミナサン!ゴメン!ボクはリトルボーイからゼラスの大ファン。今日はミナサンと一緒。ゼラスをチアアップしにきた。一緒にゼラスを楽しもうネ!アリガト!」


また大歓声が起こる。

すげぇ!父ちゃんすげぇよ!

こんなビッグネームが父ちゃんたちの大ファンだって!


今度は三上さんがマイクを手にする。


「俺は恭平みたいにMC得意じゃねーからな?ちょっとだけ。

みんなありがとうな!長いことシーンから離れてて、ぜんぜん勝手を忘れてたけど、ステージ立ったら、すぐに思い出したよお前らの顔。最高だ!」


「ありがとー涼二ー!」

「おかえりー涼二‼」


みんな三上さんの言葉で感極まって泣いている。俺も泣けた。かっけー。


「りょうじさん?すごいカッコいいね?俳優さんみたい‼」


「三上さんはゼラスファンの女の子の人気を独り占めしてたからな。ほんとカッコいいだろ?でもベースは鬼みたいに巧いんだぜ?あんな巧いひと知らねー。」


「へぇぇ。あたしファンになっちゃう‼そーとの次にカッコいい!」


「…あらそう。あんがと。……シンディさんが袖に出てきたぜ?なんだろ?」


「ほんとだ。なんか持ってきた!」


シンディさんは何やらツアーケースを運んで来た。あの長さは…ギターか?

恭平さんがマイクを持った。


「それでみんな? 今日は昔の仲間たちや新しくファンになってくれた仲間たちが、知らせもしないのにここに集まってくれたんだ。この奇跡を作ってくれた俺らみんなの大親友に感謝しようぜ‼ みんな大声であいつの名前を呼んでやろう!天国まで届くように! いいか?せーのでいくぜ?! せーの!」


「「「タクトー!!!!」」」


神野さんの合図で、会場のみんなが申し合わせたようにその名前を叫ぶ。

神野さん三上さんにとって

みんなにとって

あまりにも大きな影響力を持った存在。俺の大好きだった父ちゃん。

桐野拓人に届くように。


もぅ。言葉も出ない。

ここにいるみんなが、こんなにも愛してくれてたんだ。いや。まだ。こんなにも愛してくれてるんだ。

あんたどんだけすげぇんだよ父ちゃん。

俺なんかじゃまだまだ届かないよ。


なにも言えずただただぼろぼろと泣いていたら、同じようにぼろぼろに泣いてるあおいが、振り向いて俺の涙を拭いてくれる。


「…そーと。おじちゃん。すごいねぇ。こんなにみんながまだ忘れてないんだねぇ。良かったねぇそーと。」


たまらずあおいを抱きしめる。

会場の割れんばかりのタクトコールに、いったん流れ出した涙が止まらない。


あおいを抱きしめてる俺の腕を上からそっと抱いて、あおいが呟く。


「そーとなら出来るよ。あたしがこんなに大好きなんだから…。」


タクトコールを制して神野さんがまた喋り出す。


「みんな?タクトの音が聴きたいか?

タクトの歌が聴きたいか?! 」


その言葉に、会場のテンションはマックスだ。


「聴きたーい!」

「タクトー!!」


「よしよしみんなありがとうな!

どうやらお前らの声があいつにも届いたみたいだぜ?お前らはいつだって最高だからな!」


「ゼーラース‼ ゼーラース!!」


「あいつ、自分が来れねえ代わりにさ?世界一のシンガーギタリストをここに呼んでくれたぜ?! 」


えっ?まだゲストが居たの?

世界一のシンガーギタリストって?!

すげぇ!誰だ?!


「じゃぁそろそろ上がって来いよ?

そこはお前のいる場所じゃぁないぜ?!

お前の居場所はいつだってここだ!

お前ら?! 紹介するぜ‼

世界一のシンガーギタリスト!

タクトの最愛の息子!

桐野蒼音だ!みんな拍手!」


「「へ?! 」」


あおいと顔を見合わせて間抜けな声が出てしまった。


会場は大歓声に包まれ、いつしかソートコールが起こっている。


ステージ上では、シンディさんがツアーケースを神野さんに手渡して、俺たちを見つけてウィンクしてる。


うわ。見たことあると思ったら俺のメインギターじゃねーか。やられた!

シンディさんが俺たちを指差し、マイクを手にした。


「こらブルーノート‼ なにボーッとしてんのよ? みんな待ってくれてるわよ? 早く上がって来なさい!そこはあなたの居場所じゃないでしょ‼ さぁ早く!」


な な なんだよこれ?!

ぜんっぜん教えてくんなかったじゃねーか?! 何言っちゃってんだよ?!


抱きしめてる腕をあおいが叩く。


「呼んでるよ。行きなよ。

あたしにもそーとの魔法の瞬間見せて?」


と嬉しそうに言って、俺の腕をほどいた。


俺は大きく嘆息して笑って、あおいの頭を撫でる。


「……わかったよ。最高の魔法にかけてやる。ちゃんと見てろ。」


あおいが微笑んで大きく頷いた。


「うん。行ってらっしゃい。」



****************



「あおいちゃん!こっちおいで!」


そーとが上がって行ってからすぐ、シンディさんがあたしのとこに来て、ステージ上から手を伸ばしてきた。

えっ?え?上がるの?あたしも?


「…あたしが上がるんですか?」


聞くとシンディさんは微笑んで。


「そこにあおいちゃんが居ると、ブルーノートも心配だろうからね。

私と一緒に舞台袖で聴いとこうね。千冬も都ちゃんも居るわ。」


「え? 都ちゃんとおばちゃんも?

わ わかりましたっ。」


ステージ前の柵をちょっとまたいで、シンディさんに引っ張りあげてもらう。

みんなが見てる。ふぇぇぇ。恥ずかしいぃ。

会場がどよめく。うゎー。見られてる見られてる。

きょうへいさんが客を煽る。


「今ステージにあがった娘は蒼音の大切なコだそうだ!名前は?…あおい?……あおいちゃんだそうだ!みんな拍手!」


「───────────♪」


ひゃぁぁあ。恥ずかしいぃ。

見ないでー。そーとは……笑ってる。

あいつ~‼覚えてろ‼


一応会場に振り返りおじぎだけしとく。

どーかそーとをよろしく。


「──あおいちゃーん────♪」


げっ 名前覚えられた‼ やーん。

でもなんか優越感。あのひとあたしのそーとなんだよ?凄いんだからね?みんなびっくりしなさい。ふふん。


「葵ー!こっちこっち‼」


袖に入ると都ちゃんとおばちゃんが居た。


「なんで?いつの間にこんな話になってるの?」


都ちゃんに聞くと、都ちゃんはイタズラっぽくウィンクして


「私が連絡したのよ? ウチの息子と娘が行ったからヨロシクって。じゃぁシンディが蒼音のギター持ってきてって言うから、千冬と一緒に来たの。なかなか面白いことになってるじゃない?楽しもうね‼」


「そうなんだ。でも都ちゃんもシンディさんときょうへいさん知ってたのね。あたし覚えてなかったわ。」


「あんたあんまし連れて来なかったからね。シンディも覚えてなかったみたいだよ?可愛い可愛いって凄い気に入られてる。良かったね。」


「シンディさん好きー。すごいカッコいいの。」


「そろそろあなたの王子さまのカッコいいとこが見れるみたいよ?」


そーとはセンターでギターを抱えて立ってる。ほんと。そーとはギター持ったらぜんっぜん変わる。色気?っていうのかな?違う世界のひとみたい。カッコいいなぁ。胸が苦しい。手足が痺れる。泣きそう。なんかもぅ。もぅ。大好き。そーと。


りょうじさんがマイクを持った。


「みんな?こいつは蒼い音って書いてそうとって読むんだ。タクトが思いっきりの愛情を込めてつけた名前だよ。俺たち仲間はみんなブルーノートって呼んでんだ!みんなも覚えとけよ‼ こいつは絶対に世界を獲る‼ 今日ここに来たみんなは幸せだぜ?今日は新しい伝説が生まれる日だからな!」


「─────────!!」


またひときわ大きな大歓声。

そーとが照れてマイクに向かう。


「三上さん言い過ぎだよ…。ったく。」


ふふふ。かわいい。

さぁ魔法を見せて‼そーと!


きょうへいさんがドラムセットに座る。

りょうじさんもそーとと並んで立った。

キースさんは満面の笑顔だ。

きょうへいさんがそーとに聞く。


「ブルーノート?何から演る?何でも良いぜ?」


「…俺も何でもいいよ?どーせ神野さんも三上さんも原曲通りには演らないんでしょ?」


「ははは。当たり前だろ? 涼二だってキースだってそのつもりだよ。」


「あーぁ。練習くらいさせてくれよー。本気でぶっつけ本番じゃねーかよー。」


会場が大爆笑に包まれる。

そーとはもぅ普通にしてる。すごい度胸だ。何演るかもわかんないのに…。

りょうじさんが


「じゃぁキースに決めてもらうか?

キース?何にする?」


キースさんは即答して弾き始める。


「Lay your hands on me!」


綺麗な音!ストリングス?オルガン?

とにかく綺麗。

きょうへいさんがドラムでキースさんのあとを追っかけながら


「また難しい曲選びやがってこんにゃろー! じゃぁブルーノート!挨拶代わりにみんなをぶっ飛ばしてやれ‼

Catch up magic moments!!」


そーとがマイクに向かい、会場に手を伸ばして歌い始める。カッコいいぃ‼


「Lay your hands on me♪ Lay your hands on me♪ Lay your hands on me♪」


会場も一緒にそーとに手を伸ばして合唱を始めた。 すごい‼ みんなを一気に引きこんじゃった!


「Lay your hands on me♪ Lay your hands on me♪ Lay your hands on me♪ 行くぜ‼」


声をかけると同時にそーとがジャンプしてギターフレーズをかき鳴らす。

きょうへいさんもりょうじさんも楽しそうに笑ってる。

すごいヘヴィなギター。そーとはニコニコと左右に身体を揺らしながら、難しそうなフレーズを弾いてる。

なんて……なんて……カッコいいの?! 言葉を失くしてしまう。


「If you want me to lay my hands on youー♪」


会場がそーとと一緒に合唱する。

あたしもじっとしてられない‼ 都ちゃんもおばちゃんもシンディさんもノリノリで踊りまくってる。みんなそーとに夢中だ!

サビが終わり、突然演奏が止まってそーとだけになる。あぁそっか。

ギターソロなんだな。

そーと以外の3人はそーとを指差して、注目を向けさせる。


「♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪!」


むちゃくちゃ速いソロ!それにすごいテクニカルだ!

そーとの呼吸に合わせて3人が演奏を始めると、そーとはまた満面の笑顔でステージを駆け回りながらテクニカルなソロを決めてる。

ほんっと楽しそう。

会場から大歓声が起こる。

そーとはマイクまで走って帰ってまた歌い始めた。


最後はみんなで手を伸ばしながらの大合唱。

誰もが満面の笑顔を浮かべてそーとを掴もうと高く高く手を伸ばして歌う。


「Lay your hands on me!」


ひときわ大きくそーとが歌い曲が終了。

大歓声に包まれる。

そーとは鼻を指で擦りながら照れ笑いをしてる。

そしてマイクに向かい


「みなさん初めまして!

桐野拓人の息子のブルーノートです!

今日は突然ごめんなさい!でも俺!めちくちゃ楽しい‼ みんなも楽しもうぜー!」


とギターを弾き始める。

後ろの3人もそれに微笑んでついていく。


「───────♪♪♪♪♪♪♪♪♪」


うわぁぁあ!何これ?! 凄まじい速さ‼

こんな速さほんとに人間が弾いて良いの?ってくらいの速さでそーとが笑顔で弾いてる。


そーとはそのままりょうじさんのとこに行き、一段と速く弾いてピタっと突然弾くのを止めると、

りょうじさんもベースを叩くようにしてそーとと同じフレーズを弾く。


またそーとは、キースさんのところに走って行き、右手の人差し指で弦を叩いて凄まじい速さで弾いてピタリと止まると、キースさんが同じフレーズを応える。

それらを楽しそうに見守っていたきょうへいさんが、ドラムを凄い速さで叩き始めると、そーとが叫んだ。


「楽しいー‼ たまんねー!みんなも楽しい?!」


会場が沸き立つ。


「────────!!」


きょうへいさんが叫ぶ。


「お前ら!ブルーノートのギターはすげぇだろ?! 声もタクトみたいだろ?!

さあみんな踊れ!!」


そーとが間髪入れずに叫ぶ


「Livin' on a prayer! 」


そーとが口にチューブみたいなものをくわえた。何だろうあれ?

ギターを弾きながら口を動かすと、音がウワウワって鳴ってる。凄い。

隣で踊っているシンディさんが、


「あれはトーキングモジュレーター。マウスワウとも言うわね。

あのチューブの中からギターの音を出して、それを口の動きで変化させて、マイクで拾うのよ。センスが無ければ使えないエフェクトよ。さすがブルーノートね。凄いわ。」


へええ!そーとそんなことも出来るんだ?!

観客のテンションは最高潮。

みんなそーとに釘付けだ。

ふふふ。私の好きな人なんだぞ。私のそーとなんだぞ。思い知ったか!



***************



途中、キースさんがソロを取ったり、りょうじさんがソロを取ったりしながら、もう何曲演ったかわかんないくらい。会場の誰一人その場を動こうとせずに、キラキラした目でステージ上の4人を見ている。

きょうへいさんが


「ブルーノート? そろそろ終わりにするけど、最後にお前が好きな曲を演ろうぜ? 何演りたい?」


しばらく考えてたそーとが口を開く。


「こんな貴重な時間の中で、私事なんてほんと悪いんだけどさ。

実は今日、そこに居るあおいの15歳の誕生日なんだよ。

だから、あおいに一曲歌ってやりたいんだ。ダメかな?」


会場から大声援が起こる。


「ブルーノート!やってやれ!」

「歌ってー!ブルーノート!」


嬉しい!

こんな時でもあたしのこと考えてくれてたんだ……!

そーと!


「あおいちゃん誕生日なのか!この日に誕生日なんてほんと奇跡だな?!

いい記念日になったなー。いいぜ。歌ってやれよ。いいよな?お前ら?!」


「─────────!!!」


拍手でそれは肯定された。

都ちゃんに肩を叩かれる。

おばちゃんに背中を押され、シンディさんに頭を撫でられる。

みんなありがとう。そーと。ありがとう。」


そーとが


「ありがとう。みんな。

じゃあ最後のナンバーは、『In these arms』にするよ。」


きょうへいさんとりょうじさんが口笛を吹いた。

会場からもピーピーと指笛が飛び交う。

そーとは真っ赤だ。なんで?


キースさんがキーボードを鳴らすと、きょうへいさんとりょうじさんが続く。

シンディさんがあたしを後ろから抱くようにして、耳元から話しかけてくる。


「あおいちゃん。愛されてるわねー。 この曲知ってる?」


「いいえ。綺麗な曲ですね。どんな意味の歌なんですか?」


「愛の歌。君をこの腕に抱けるならなんだってするよ。って歌よ。」


「……そーと………嬉しい………嬉しいよー……ぅう……」


「よしよし。シンディさんが同時通訳したげるわ。もっと泣けるわよー。」


目を閉じてマイクに向かってたそーとが歌いだした。



****************



『君は約束が欲しいの?

なら僕の目をのぞいてみて。

炎が燃えてるのが見えるだろ?

ずっと燃え続けている炎が。


僕はなんだってするよ

一生懸命に なんだってする

君をこの腕に抱きしめるためなら。


ベイビー 君が欲しいんだ。

バラが雨に焦がれるように

君が僕には必要なんだ。

詩人には苦難が必要なように

なんだって捧げられるんだ。

僕の血も 愛だって 人生さえも


君が今夜この腕にいてくれるなら。


君を抱きしめ

君を求め

君の前でひざまづきもする

そしたらすべてうまくいくんだ。


君を俺の腕に抱けるのなら。


君を精一杯愛して

君を笑顔にして

君の元を離れないと誓うよ。

ずっと死ぬまで君を愛していく。


君を今夜この腕で抱けるなら。


二人で太陽を見つめ約束したよね?

どんなことがあっても

見失ったりしないんだってこと


俺は約束したんだ。

俺らの誓いの言葉は歌になり、

その歌は俺らの祈りだ。

祈りを乗せた歌が俺を強くしてくれるんだ。

俺は信じて歌う。


今夜 君が俺の腕の中にに居てくれるから。


君の着てた服がまだ散らかっている

部屋中にいっぱい

このなじんだ部屋のなかにはいまだ

君らしい香水の香りが残ってる

すべてが君の思い出でいっぱいなんだ

君の腕に抱いてもらうためなら

僕はなんだってするよ


僕ら二人は約束した

その約束が僕に力を与えてくれる

君を抱きしめる

君は俺に必要なんだ

君のためになんでもできる

すべてうまくいかせてみせる


君がこの腕の中に居てくれるなら

君を愛し

君を笑顔にし

決して離れないって誓うよ

この世が終わるまで君を愛す

君をこの腕に抱きながら。



****************



そーとが最後のコードを鳴らして

高く手をあげるのを

あたしは涙でぐちゃぐちゃになりながら見てた。


大歓声が身体に響いてる

都ちゃんやシンディさんやおばちゃんが抱きしめてくれて、撫でてくれてるけど、そーとがこっちを見て笑ってウィンクをしたのを見たら、居ても立っても居られなくなって、そーとのとこまで走って行った。


そーとは照れ笑いをしながら言う。


「誕生日おめでとうあおい。

魔法。ちゃんと見てくれた?」


あたしはそーとの胸にに思いきり飛び込んで叫んだ


「ずっと魔法にかけられっぱなしよ!バカそーと。大好き‼」


会場が割れるような拍手がいつまでもいつまでも鳴り続けた。



****************



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