第84話 1999年ー2011年 漫画「昴」と「MOON -昴 ソリチュードスタンディング-」

期間に間は空けど、より緻密な世界へ踏み込むバレリーナを目指す昴の成長譚の漫画です。



□昴:曽田正人

□掲載誌:ビッグコミックスピリッツ

□連載期間:1999年12月13日 - 2002年11月2日


□MOON -昴 ソリチュードスタンディング-:曽田正人

□掲載誌:ビッグコミックスピリッツ

□連載期間:2007年8月6日 - 2011年10月24日



スピリッツと言う青年誌でクラシックバレエを描くと言う無謀も、期間抜群に両部それぞれコミック10巻位で収まるので、特に不人気と言う事は無いようです。むしろ熱狂です。

曽田正人氏はかなりの深堀派なので、「MOON -昴 ソリチュードスタンディング-」のあとがきにはバレエ教室に通って舞台にも出た事が書かれています。そうでないと作中で描かれる基礎メソッドの楽しさを描ける筈も有りません。


ここからはネタバレを含みます。









物語は両部に渡って小学生から18歳位も、かなりの起伏を描いています。多分物語上の各賞の時系列を改めて描くととんでもないインフレーションになるのですが、そこは昴の天賦の才と気付きを存分に描く事で有り得ると読者を説得させます。


ローザンヌ国際バレエコンクールで最優秀賞とヴァルナ国際バレエコンクールに出場してグランプリを獲得出来るかに関しては、この昴なら葛藤有りきでも出来るかなです。

もう今となってはローザンヌ国際バレエコンクールもスカラシップ目指して、日本始めアジア各国から参加しては各賞を獲得していますが、ここは逆引きで昴位の表現力があってのローザンヌなのかも、ここ普通に起きつつあるのは「昴」の作品としての先見性と傑出性を描いています。


両部通じての「昴」のクライマックスは、「昴」においての昴とプリシラ・ロバーツとのボレロ対決に他なりません。ここ迄描いたら続きはどう描くのかと言うくらい、ゾーンの深部を掴んでいます。兎に角プリシラが濃すぎて、何処かで退場して貰わないと「昴」が成立しなくなるは、傑出した作品には良くある傾向です。


「昴」でやや消化不良気味にアレックスが最終章に登場しますけど、ここは有り無しで今も議論になります。私としては有りです。等身大の昴の心を描くなら、つい超能力者に描きがちなアレックスを頭脳明晰者で登場させた事で、年代を超えても古くならない作品に落ち着いたと思います。



そして、「MOON -昴 ソリチュードスタンディング-」ですよね。何故続編を描かなくてはいけないかは映画「昴-スバル-」に大きく由来します。



□昴-スバル-

□公開:2009年3月20日

□監督・脚本:リー・チーガイ

□制作:パーフェクト ビューティー インターナショナル/ワーナー・ブラザース映画/エイベックス・エンタテインメント/SMエンターテインメント/メディアコープ

□宮本昴:黒木メイサ



あの「昴」が映画「昴-スバル-」とあって映画館で何処まで胸を弾ませたものか…は、現実となるとフィジカルの束縛があるので、どう映画的手腕を発揮しても魔法はそう簡単に掛けれません。皆の評価としてはAmazonのレビューが近いので逃げます。ただ黒木メイサは映えていたので、もう少しの準備期間とドラマ部を削ってよりバレエ映画の成分を高くしたら、舞台が原作に無い上海のコンクールでも受け入れられたと思います。


ここは多分2004年の制作段階で深く悟った曽田正人氏が、それならば原作で上手く補完しようかと、昴のリアルライバル許 敏敏(シュー・ミンミン)を登場させます。アジア的な成分も大いに有りきも、「MOON」連載事にはもっとヨーロッパの隠れた逸材でも良かったとは思ってました。

それは今読み返しても、ミンミンでなくてもロシア人でも良くは無かったも…いや続編があるならば、ロシアへの怒鳴り込みも有りでしょうし、待望しておきましょう。



結局映画「昴-スバル-」に振り回される事になった「昴」も、漫画が名作であるならばどうしてもの実写「昴」の到来は避けられません。その昔、企画速報でフジテレビの月9で「昴」が予定されていましたけど、パイロット映像が撮られたかどうか分かりませんけど、見送られた向きです。


ただ、現在ならば、あの振り切れてどうかしちまってるバレエ経験者の平手友梨奈が、2021年現在のリアル年代にいます。これを逃してしまうのかフジテレビはです。

もっとも平手友梨奈の振り幅であったら、昴の年代設定全て書き換えてでもスペクタルドラマを一から作れそうです。

いつかいやもう暫しで、コロナ禍も去って、メディアミックス展開で制作費も万全ならば、ニューヨークに行かせてあげたいなは、平手友梨奈を知れば知るほど募る筈です。秋元康は過去を清算して伝家の宝刀をどうしても抜くべきです。


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