第74話 1988年 CD「DATE/岡村靖幸」 33年目の邂逅

最初のおことわりは、エアチェック音源と言えどあれですので、URLは入れません。


最近HDRが飛んでしまい、ずっとPS4のYouTubeで高橋幸宏のライブ音源を聞いていたら、おすすめで出てきましたよ「岡村靖幸 NISSIN POWER STATION」。聞いて早々、これは私も録音していたなと。NISSIN POWER STATIONのラジオ帯ずっと聞いてましたよ。まさか33年目の邂逅がここであろうとはですね。


音源はライブは勿論インタビューもCMも有りと、エアチェック時のカセットテープそのものでしたね。ただ時代がですか、テープは得てして経年劣化するものでピッチは落ちてます。最近の子はデジタル一辺倒で、カセットテープの特性知らないと思いますがそう言うものなのです。


インタビュー中で岡村靖幸が口々にしていたのは「革命」。深く察してくれの「革命」。確かに全分野での革命です。

生ストリングスはどうしても無理として、CDの各楽器の音色とピッチとグルーヴをそのまま持って来れるのが、確かに当時としては奇跡通り越して革命かも知れません。

そう当時はDAWもHDRもなく、出来ても同期の単体シーケンサーによる管理だった筈です。いやそれにしてもライブの完成度が尋常では無く、人力での再現度に感服します。


時期に関しては、YouTubeの音源の出典で、POWER STATIONのライブは1988年と記述されていますが、セットリストから1988年3月20日発売のアルバム「DATE」辺りの、1988年9月21日発売のシングル聖書 (バイブル)が無い事から、この期間内と推察出来ます。

そう言えばラジオ音源だけでなく、映像に関しては、eZは無いとして、HITSのライブレポでは見たかも知れないなが過ぎってます。




そして、このアルバム「DATE」なのですけど思い入れが深いですね。


□DATE (1988年3月21日発売)

□EPIC/SONY RECORDS

□タイトル

19 (nineteen) (作詞・作曲・編曲:岡村靖幸)

Super Girl (作詞・作曲:岡村靖幸 / 編曲:清水信之)

生徒会長 (作詞・作曲:岡村靖幸 / 編曲:岡村靖幸・西平彰)

Lion Heart (作詞・作曲:岡村靖幸 / 編曲:清水信之)

いじわる (作詞・作曲:岡村靖幸 / 編曲:岡村靖幸・西平彰)

DATE (作詞・作曲:岡村靖幸 / 編曲:岡村靖幸・横田龍一郎)

どうかしてるよ (作詞:有賀啓雄 / 作曲:岡村靖幸 / 編曲:有賀啓雄)

うちあわせ (作詞・作曲:岡村靖幸 / 編曲:清水信之)

不良少女 (作詞・作曲:岡村靖幸 / 編曲:岡村靖幸・西平彰)

イケナイコトカイ (作詞・作曲:岡村靖幸 / 編曲:岡村靖幸・西平彰)

19才の秘かな欲望 (作詞:戸沢暢美 / 作曲・編曲:岡村靖幸)



CDがやっと普及し始めた頃で、レコードと比べCDの割高価格も見直された時期に買った記憶が有ります。デジタル信号でなければ音質の抜けないパートも有りますので、当時の制作意欲が窺い知れます。


「DATE」は日本のファンクの金字塔です。全体的にファンク要素の大きい9thコードが散りばめられ、ボーカルが乗って音程を超えてもテンションの一部であると動的に聞かせます。

しかし各楽曲に見やるとミドルとレイトのテンポが多く、早い曲は数曲なのにこの疾走感は不思議ですよね。曲順も然りですけど、音符の細かい刻みもありで、グッと無理なく詰まってる感じがそうさせているかも知れません。


ただ、何でもかんでも技術で詰めてしまうと、歌詞が響かなくなる事がままあります。1枚に1曲で有るべきの名バラードの「Lion Heart 」と「イケナイコトカイ」が1枚のアルバムで共生しているのが、「DATE」が名アルバムたるきざはしです。


次回アルバム「靖幸」からは、オール岡村靖幸色となってしまうのですけど。「DATE」ではまだスタジオミュージシャンとのセッションも多く、せめぎ合う多様性が垣間見えます。


音質面では、オケヒットも的確、リバースシンセも意欲的、ブラスシンセも鋭角、ストリングスシンセのイコライザーも綺麗と、今の方が聞くと高度なプレイバックサンプラー使ってるなでしょうけど。1988年にそんなマシン有りませんから。

サンプラーはやっと普及するかで、「DATE」で使用されたのは何かなと使用されたであろう44.1khz出力辺りのサンプラーをただ検索しました。EmulatorIIIは1988年、Akai S1000は1988年、Roland S-760は1993年、と制作に間に合っていません。ならばはやはりYAMAHA TX16Wの1987年あたりを使用かなと。

YAMAHA TX16Wの選択は16.7kHz、33.3kHz、50kHzとなりますので、この50kHzあたりがCD品質になるかなと。

ただ「DATE」においては、ミュージシャンとシンセ&サンプラーの比率は、まだまだミュージシャンのクオリティーが大きく、今聞いてもどう言うセッション組んでるのか悩ましくなります。実に時代の転換期のミッシングリンクなアルバムで、ミュージシャンズアルバム「家庭教師」より、もっと評価されても良いと思いますよ。


後は「19 (nineteen)」でも印象的なドラムマシンビートですけど、今の様なワンループとかチョップはしていません。ここはプリンスも使っていたLinn LM-1 かなと思いつつ、PCM音源のRoland R-8からトリガー引っ張って手動ではと思いきや1989年に発売でした。それではと普通に1987年のYAMAHAのRX7の音色のディケイ短めにすると良い塩梅になりそうです。且つ音色はピッチもエディット出来るので、作り込めばブレイクビーツ的なグルーヴも出来そうです。

いや、現在の様に取り敢えずドラムマシン音源単音をサンプラーに取り敢えず入れてからエディットしようかの思案も有りましょうけど、当時は音色管理がフロッピーで尚且つローディングが半端ないので、ドラムマシンのエディット使用が利便性が有ります。


凝る程に色々過ぎりますが、ギターのアタック音は、何となくシンセギターが微かに混ざってそうな感じも。とは言えギターのオーバーダビングは、マイク数本立てとか、ライン入力も合わせたりするので、不思議な厚さを本作「DATE」では発揮してます。


コーラス並びにワンショトコールは、今の制作方法ですとPro Toolsでの切り貼り若しくはサンプラーの割り当てでしょうけど。当時はマルチトラックへのポンだしと、そのまま1トラック通しで歌ってはオーバーダビングしてる感有ります。コーラスは同じフレーズが無いので、力入ってますよね。


ドラムは、確かに生ドラムが並走してるものの、シーケンスの音量の方が高めで、波形が打ち消さないタイミングがもう、今のミュージシャンでもこのセンスあるかどうかですよね。CDは倉庫に仕舞ってるからドラマー誰かなとwebで検索するも、そこ迄細かく書いてる方いないものだなとも。


音色並び楽器群はあくまで私見です。ライブ「DATE Love & Sex '88」のビデオテープも持っていたのですが、今や所在不明。機材セッティングがここで具に窺える筈なのですが何とか耳だけが頼りです。


アルバム「DATE」にして革命なのですから、ライブでこの再現以上の事をしてしまう岡村靖幸は何者かですよね。

願わくば「岡村靖幸 NISSIN POWER STATION」はマスターテープが眠ってるでしょうから、再発盤で何かしらの映像特典に付いて欲しいなと思いつつ。時期が近いDVDとしては1988年12月に東京MZAホールで行ったライブ「DATE Love & Sex '88 [DVD]」が発売されていた様ですけど、今は廃盤の様です。まあ出会いはまたある事でしょうから、人生気長に楽しみに待ちましょう。



あと思い出はもう一つありました。

学生時代は北海道にいたので、エフエム北海道の毎週金曜深夜1時か1時半の「FM ROCK KIDS」も聞いてました(wikiでは26:00-27:00の1時間番組)。時期的にはネットによると表記崩れで判読やっとですけど、1988 年 4 月〜1989 年 3 月あたりの確かにアルバム「DATE」発売後の時期。同じ週枠の佐木伸誘と共に深夜のお供です。

その後の眠れない夜には屋上に上って、この上ない満点の星を見つめましたさ。今でもこれ以上の星空が無いは旅の経験が少ないかを鑑みても、先々無いかなとも。

そして記憶の限りでは1989年4月〜のNHKラジオ「ジョイフルポップ」より「FM ROCK KIDS」の方が先で初めてのDJである筈なので、聞いていた道民皆さんはそうそうと誇って良いと思います。まあ、あのまま「FM ROCK KIDS」が長く務めていたら、大泉洋より先駆けとしての道民のポップアイコンになったでしょうけど、それはどうなのかなも微笑ましいものです。


「FM ROCK KIDS」内では至ってマイペースだったので、賛否真っ二つの「岡村靖幸 NISSIN POWER STATION」のトークも然程気にならないのですよね。本当気の良いお兄さんですよ。

「FM ROCK KIDS」の最終回辺りには、道新ホールでのソロコンサートの模様も放送されましたけど、正直音質あまり良くなかったかなと。北海道にいたのに道新ホールに一度も行って無いのは、その影響もあってでしょうか。



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