第61話 2019年 ドラマ「同期のサクラ」
タイトル:同期のサクラ
放送期間:2019年10月9日-12月18日
放送枠:日本テレビ系水曜ドラマ
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:大平太/田上リサ
脚本:遊川和彦
演出:明石広人/南雲聖一/日暮謙
監修:阿部守(建築業)/中澤暁雄(医療)
出演者:高畑充希/橋本愛/新田真剣佑竜星涼/岡山天音/草川拓弥(超特急)/大野いと/柳谷ユカ/津嘉山正種/相武紗季/椎名桔平
音楽:平井真美子
エンディング:森山直太朗「さくら(二〇一九)」
以下ネタバレありきになります。
ドラマ「同期のサクラ」は三番手ゼネコンに入社した新人女性社員北野サクラ及び、月村百合・木島葵・清水菊夫・土井蓮太郎の四人の同期社員等のを中心にの群像劇です。
いつもならHDRに撮り溜めて最終話だけを見ては、最終話なのに齟齬起こしてるなで遡っては全話見ないのですが「同期のサクラ」は全話見直しました。
何故珍しく全話見ようとしたのは、最終話の椎名桔平演ずる黒川のサクラへのエールが、この台詞は誰も書けないからです。ネタバレは最後に回しましょうか。
正直なところ…遊川和彦脚本作品は朝ドラ「純と愛」で打ち負かされたので、もう見ないつもりでした。「同期のサクラ」も何故にここまで試練を与えるかが、毎週見ててはズタボロになっていた事でしょう。HDRに撮り溜め一気見は非常に稀有な発明だなとひしとです。
脚本は練りに練られ、お約束を用意する周到さは、巧みそのままです。ですが遊川和彦脚本は油断したところで、役者にとんでもない試練を与えます。
ある回で北野サクラと木島葵が男女のいい感じになるかがあるのですが、仏頂面ブスの北野サクラに瞬間美人をさらっと求めるのです。
分かってるな遊川さんです。もう「同期のサクラ」の高畑充希・共演者・スタッフ全員が積みに積み上げてきたサクラの不器用キャラクター作りを、断捨離させるつもりで書いた一言は、良くも悪くも捨てきれずに残してしまったのが唯一のウィークポイントですね。
作り過ぎたキャラクターは、どうしても根を詰めて世界観を縮めてしまいます。
ここは一意見で高畑充希はどうしても個性派俳優で、瞬間美人はどうしても無理です。後の三角関係も敢えて台詞を用意したものの思いっきり滑ってます。百合が何故に苦悩してのシングルマザーなのか、ここの土台が無いとただのトピックなのですよ。
では何故に瞬間美人を求めたかは、遊川さんの中でもは別のサクラ像があったかもしれません。それではどのサクラが望ましかったのでしょうか。下記にトピックを展開します。
・堀北真希サクラ
堀北真希は「野ブタ。をプロデュース」で影キャラ演じてますから、今も現役でしたらサクラですね。
それと、キャリア後期の名作「ミス・パイロット」では相武紗季とも共演しているし被ります。
そういえば「ミス・パイロット」も無邪気キャラでしたかね…映像見返そうにHDRが一回飛んでますので、堀北真希ドラマが全部クリアされるよ。
・波瑠サクラ
髪型が波瑠の髪を垂らせば、ほぼその通りの波瑠サクラなんですよとも。声のトーンも句読点も波瑠ですしね。
しかし作品を波瑠サクラにしたら、橋本愛の月村百合才色兼備が普通人になってしまいます。波瑠よりもっと美人で苛烈な演技出来る方は見たらないですから、配役バランスを考えたら高畑充希サクラが府に落ちてしまいます。
いや、スケジュールの都合が合えば、桐谷美玲の月村百合も絶妙なバランスかもしれませんね。
・大島優子サクラ
留学が長かったので、大島優子サクラの主役キャスティングは冒険しかないので無いでしょう。でもですか、キャラクター練り混み過ぎた大島優子サクラでわちゃわちゃするのが見たかった気がします。
そうですね。AKBで長らく活動していなければ確実にキャリア積んで良い俳優に仕上がっていた筈です。
ただ、酒灼けした発声は役がどうしても選択肢は狭まりますでしょうね。ここのアイドル飲酒解禁酒灼けで喉を潰して停滞する問題は何れ何処かのエッセイで。
そうのこうので最終回で見せた、あのカタルシスです。
花村建設に再入社した北野サクラが、社長に上り詰めた黒川森雄に問います。何故に私に便宜を図ってくれるのか。それは会社を変えてくれるからだも尚も問いは続けます。そして黒川の事故で死んだ幼い娘にサクラを被せている事が切に解かれます。
ここで初回から垣間見えた導線で、視聴者の涙腺は大いに弾けます。ただ冷静なのは当事者たるサクラと黒川です。
サクラはかなり情に脆いのでこの流れに黒川に巻かれましょうが、黒川の心情をただ察し次の成長を見せます。黒川はサクラにこの話をすれば、絶対に今のサクラならきっとが巣立ってしまうだろうと織り込み済みです。敢えての最後の力強いエールを送った上でのやり取りになります。
ここの丁寧な件を演技だけ見せてしまうのが今日迄演じてきた役者さんなのでしょうね。分かり合えた故に一切の泣きの演出はありません。一視聴者は物足りないと思いますけど、画力そのままで十分です。これが正解なのです。
ノベライズにされたらこの件が事細かに書かれてしまうでしょうけど、その折々にドラマを見返し受け止めた思いそのものこそがドラマの本質であると言えます。
因みにJ:COMの投票機能使った「今年、一番面白かったドラマは?」という2019年通期の調査では。
1位「3年A組-今から皆さんは、人質です-」23%
2位「ノーサイド・ゲーム」(15%)
3位「同期のサクラ」(12%)
4位「グランメゾン東京」(11%)
5位「あなたの番です-反撃編-」(10%)
6位「監察医 朝顔」(8%)
7位「家売るオンナの逆襲」(8%)
8位「ラジエーションハウス」(7%)
9位「サイン」(4%)
10位「G線上のあなたと私」(3%)
「同期のサクラ」は3位です。固いビジネスもので10年タームのやや難しい展開でであっても、この3位は、視聴者は確といるという事です。
テレビドラマ不遇の時代と言えど、ドラマを求める視聴者層はいるので、遊川さんから学んで若手シナリオライターさんにはもっと頑張ってもと良いと思います。
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