第36話 1985年 音楽「セシールの雨傘 (Single Version)/飯島真理」 

□セシールの雨傘 (Single Version)/飯島真理(シングル発売:1985年8月21日)

□作詞:松本隆

□作曲:飯島真理



飯島真理と言えば、あのリン・ミンメイなのですが。マクロス全盛期のあの時期にはどうしてもアーティストに見られて欲しかったようです。学生の私にとっては、リン・ミンメイもアーティスト飯島真理の差が分からず、女性って難しいなと思っていました。


そもそも飯島真理を嫌いな方がいたかと言うと、皆好きだったでしょうと。だからこそ「愛・おぼえていますか」でベストテンにも結構な頻度で出て久米宏にいじられてたし、ミスDJも熱心に聞いていましたよ。


今回はアーティスト飯島真理に光りを当ててみます。日本でのオリジナルアルバムは15枚。そして仲間内皆が好きだったのはビクター時代の作品ですね。「Rosé」「blanche」「Midori」「KIMONO STEREO」所謂色シリーズです。これはムーンレコードに移籍してからも続きますが、有名処のプロデュースがきっかり入った頃の作品の方が、より良い飯島真理カラーが出てて好きです、



その飯島真理作品の中の一曲を選べと言われたら、松本隆作詩のドラマチックな「セシールの雨傘」一択でしょうね。若過ぎるまりん(注.1)も、この詩情的な歌詞によくメロディ乗せられるものです。


バージョンとしては「セシールの雨傘 (Single Version)」「セシールの雨傘(Version II)(KIMONO STEREO 収録)」の2つが有ります。


「セシールの雨傘 (Single Version)」正しくCDシングルそのものです。ですが後述のアルバムには別の形で収録されています。このバージョンのCDを聞くにはベスト盤「palette」を購入すべきかと思います。選曲もベスト中のベストなのでおすすめです。

尚楽曲についての「セシールの雨傘 (Single Version)」は打ち込み色が強く、ベースとドラムがボスボスと前面に出ています。個人的はこちらが好きなんですよね。まりんはファルセット(注.2)に入るとフラットしてしまうので、これ位の音圧の太さが合ってるのですよ。


そして「セシールの雨傘(Version II)(KIMONO STEREO 収録)」に関しては、ライブ再現が可能なバンドテイストに仕上がっています。嫌いじゃないけど、雨の中で見つけた感がかなり薄いです。

何と言うべきか、ファルセットに入った時のフラットのサポートしきれていないというか、まりん自身見えてないよなと。初期作ならその対応をプロデューサー也プロミュージシャンが音を厚くしてくれましたが、敢えてまりんはナチュラルになりたかったのかなと。ミュージシャン転身発言と相まって、そこの物足りなさがやや停滞気味になる訳なのですが。



そう言えば、当時キーボード系の雑誌でキーボード・マガジンとキーボードランドがあって、キーボードランドは今や廃刊なのですが、「セシールの雨傘」の譜面が載っていたので、鍵盤も引けないのに買った覚えが有ります。

「セシールの雨傘 (Single Version)」とキーボードランドと雨の日、このセットで切ない思いが当時は胸を掻きむしりました。

その時のまりんでいて欲しかったなと、歯がゆい思いと共に。



#追記

「セシールの雨傘」のヴァージョンは2種と書きましたが。もう一つ有ります、3種です。1993年のベストアルバム「The Classics」でセルフカバーしています。

ムーンレーベル時代の作品はあまり聞かないので失念してました。スラング的にThe Classics!と言う感じで、ブラック要素の強いダンスコンテンポラリーとしてアップデートされています。これはこれでサンプラーバリバリの曲は嫌いでは無いです。

ただ、冒頭の「愛していた」の台詞は誰に向けられたものか、唐突に雨傘の彼女からの心情になっています。作詞の松本隆さん的にはアウトかと思いますけど、些か音楽業界が強い時代だったから押し切る事が可能だったと思います。

個人的には、まりンと長谷君はそう言う届かぬ関係かと思っていたので。聞く度に、ずるいよまりンの思いを寄せるのは、ついですか。




まりん(注.1)

正式愛称は「まりン」ですが、変換し難いのでまりんにしています。

尚「まりン」は1stアルバム「Rose'」の一曲です。アップテンポで元気を貰える名曲でもあります。



ファルセット(注.2)

ファルセットはまりんの中期頃の得意技です。その技を遺憾なく発揮しているのはの12インチレコードの「遙かな微笑み ―黄土高原―」でしょうか。ベスト盤「palette」でも聞けます。尚坂本龍一のインスト曲「黄土高原」に歌詞をつけた不思議な変遷を経た曲でもあります。

何と言うかですね、ファルセットが気になって歌詞が入ってきません。意欲的なアプローチ過ぎて、端的な歌詞の部分しか響かないのですよ。いっそ歌詞にあった曲を作るべきだったかもと。

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