第28話 1995年 公演「SPEED PER HOUR 270km/東京パフォーマンスドール」 

「SPEED PER HOUR 270km」について書くのは、恐らく最後になるかなと思ってましたが、背中を押された感があるのでここに。



初期からややフロントメンバーの変わった東京パフォーマンスドールの公演「SPEED PER HOUR 270km」は1995年の8月7日 - 8月13日の1週間と長きに渡って、天王洲アイルアートスフィアにて行われました。

後にメンバーを丸ごと替えた2期メンバーによる新規公演があったものの、大掛かりなステージはこの「SPEED PER HOUR 270km」を持って、初期TPDは緩やかに閉じて行きます。


TPDは土曜夕方5時の「HYU2(ヒューヒュー)」の露出から気になり、たまたま中古のVHSで手に入れた公演映像で釘付けになっては深みにはまりました。そこからは秋葉原と渋谷で中古のアルバム・シングルを買い揃えては、更に洋楽指向の音にただ悦に入りました。


そんな折り。「SPEED PER HOUR 270km」公演を、雑誌ぴあの広告だったと思うけど、チケット発売を知り、そのままチケットぴあのカウンターで購入。

公演は1週間の長丁場で、休演日を挟みつつ確か土日は2回公演も行った筈。土日はsoldoutで入手出来なかったと思うので、平日夜の金曜日8月11日に取ったかなと。


そして公演当日。金曜でも残業振り切り、港区の仕事場からいざ住所上は品川区の天王洲へと。天王洲アートスフィア(現:天王洲銀河劇場)はただ煌びやかで、東京から隔離された場でも、こんなおしゃれな劇場あるんだなとただ感心。

まあ天王洲に行ったのはこの1回限りだったので、何かしらの公演でもう1回は行きたかったものです。


「SPEED PER HOUR 270km」のセットリストに関しては、ちょっと曖昧です。同じく「SPEED PER HOUR 270km」の公演VHSを持っていますが倉庫に眠っているので思い出す限りに。

公演はほぼ「check my heart - Cha-DANCE Party Vol.12」のCDをメインに新メンバーの新楽曲と幾つかのTPDの定番曲で、MCを挟みながら1時間30分位だった筈。VHSでは1時間位ですが、MCカットとダイジェストの曲もあるので、その尺に収まります。


TPD史上、最高楽曲を揃えた「NEVER STOP - Cha-DANCE Party Vol.9」後の公演で、ただ期待が高まりました。米光美保・篠原涼子・市井由理・穴井夕子が卒業しても、TPDはTPDだしと、「check my heart - Cha-DANCE Party Vol.12」の充実度を噛み締めては成功を祈っておりました。


その期待の中、天王洲中程の席に着き、公演が始まります。オープニングから何故かフルスロット。これTPDだっけと唖然。アイドルらしさは良い意味で有りません。私的には早いBPMの曲があるのは嬉しい限りです。

公演はLesTPDたる川村知砂・木伏夏子・櫃割香奈子・関ひろみが引っぱり、新人組の新井雅・東亜佐美・名取美穂等が奮闘しては、やもしれぬ期待が高まりました。


「SPEED PER HOUR 270km」公演は懐かしい曲、TPDがTPDたる定番の曲がほぼ無いので、多分今でも議論が紛糾する筈です。

ですが、最後の最後のメドレーで何事も払拭するカタルシスが訪れます。新アレンジによる「キスは少年を浪費する」「JUST LIKE MAGIC」でステージも観客席は堰を切った様に興奮は最骨頂。

そして最後の曲「Bad Desire」、如何にもボス役の川村知砂が満を持して登場し、フルメンバーでのお馴染みの群舞が始まります。

リリースされた楽曲アレンジより、ディストーションギターもブレイクビーツもただ早く激しく、もはや原曲の微塵は無し。

その音圧に圧倒されたか、ステージと観客は皆ゾーンに突入。ステージ上の彼女らはただしなやかに力強く、一糸乱れぬ群舞で、どこまでも皆を引っ張ります。バレエの公演でもここまで揃うかという程の脅威のシンクロ率。

そう、強いて言えば50年に1回あるかのステージ。50年に1回は運が良かったら、誰かがもう1回観せくれるかも知れないの期待です。


いや、アイドルの公演で、ゾーンなんて。そんな事などと信じられないでしょうが、あったのですよ、一斉にゾーン突入。しかも会場丸ごと。

待った待った、それ位今でも、ままコンサートであるでしょうの意見も分かります。ただ今のコンサートは入口から何から決められたフォーマットが先走り、これだけの事すれば盛り上がろうの上積みで出来てしまっています。それはアーティストにとって果たしてプラスなのであろうか?今はまだ答えは出せません。


ただ公演なりライブは、どうしても一期一会。アーティストの情熱に誠実答えられるかが、共に最高のステージを作るだと、私は願って止まないです。



あと。「SPEED PER HOUR 270km」にて凄い原石がおりました。

幾人かのTPD研修生の中に、一際瞳の大きな娘。もうメインステージに立っていても、こちらを何か凝視している錯覚。何か不思議な印象な娘だなと、その時は思いました。

そして後、その一際瞳の大きな娘が仲間由紀恵だったのかと、彼女のプロフィールを見て知るのでした。

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