抹茶と女

 私が「京乃江戸前」に入ることにしたのは、抹茶党だから。

 私は無職だ。

 仕事を探しているけれどもなかなか面接までこぎつけられないでいる。

 それでも副業は持っていた。

 つまり、休職中兼ライターという感じ。

 なら、ライターと名乗ればいいじゃないか! という感情もなくはないが、それ以上に仕事があるわけではない。たまたま運よく、あるサイトでちょっとした文を書かせてもらっているに過ぎない。

 だから、兼業ライターなのである。

 ああ、兼業と言っても相手がね……無職。

 仕事、見つかるのかな?

 面接で「有期雇用で」というと「はっ?」て顔されて「上限ある契約で」というのも面倒になってきた。

 むしろ、有期雇用の契約社員よりも、無期のアルバイトのほうが良くないかと思ったりするよ。

 さて、私がこの店――「京乃江戸前」にいる理由。

 お金はないけどちょっと気分変えたいから。

 書いた文章を印刷して持ってきて、赤ペンもって直すの。校正ならいいけど、自分の文章だとほぼ再構成だね。

 形だけ「作家ぽい」。

 そう、形だけ。

 おいしいと思うし、料理。

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