第2話 自己紹介の儀
こうして部活紹介をした後、他に面白そうなサークルもないので文化研究部に入部する事に決めた。そして今は新入生歓迎会の場という訳だ。先輩達四人は既に紹介を終えて、次は新入部員の紹介となっていた。
「えーと結局入部を決めたのは四人か」
部長は少しだけ不服そうにそう言った。
「大体、漫研に持ってかれるんだよな……、アソコ漫画描く人描かない人別れるし」
え、そうなのか。だったら僕も漫研でも良かったじゃないか……と、心の中で思ったがもう入部届け出してしまったので仕方ないだろう。
「えーと、そしたら自己紹介してもらえるかな?」
部長がそう言うと、前の方の席に座っていた女の子が壇上まで歩いて行って話し始めた。
「え、えーと、わ、私の名前は青坂緑って言います」
青坂さんは黒の眼鏡に、長い黒髪をポニーテールにまとめて地味目な服装をしている典型的な女オタクって感じだった。
「そ、それで好きな作品はフェンシングの神突で、好きなカップリングは早坂×神野です!!」
好きな作品は分かるけど、今のオタクってカップリングの話までしちゃうのかよ……と同じく今のオタクである僕はそう思った。
ちなみにフェンシングの神突という作品はその名の通りフェンシングの話なのだが、巷では超次元フェンシングと呼ばれている。例えるとフェンシングの剣を投げると100%心臓を穿つ能力者がいるなど、ルールや倫理観全てを無視したぶっ飛んだ物語である。
しかしそのぶっ飛んだ話やイケメンキャラのおかけで女オタクから絶大の支持を受けている。
「はーい、青坂さんありがとね、次は誰が自己紹介する?」
部長がそう言うと背の高い男が立ち上がり壇上の前まで早歩きした。
「えーと、僕の名前は紅白新と言います」
こうはくあらたって読むのか……。名前は珍しいが紅白君は背が高くすらっとしたイケメンであった。それなのになんでこの部活に来たのだろうか。
「僕は、虚無の完成という小説が好きなので同じく好きな人がいたらよろしくお願いします!!」
しょ、小説好きなのか……、確か文芸部とかあったはずだがなんでこの部活に来てしまったのだろう、凄い気になる。
紅白君が自己紹介を終え席に戻ると、さっと立ち上がってさっさと壇上に上がった人がいた。どうやら僕がトリを務めることになったらしい。
「お、俺はく、黒田お、黄拓です」
黒田黄拓君ね、なんか三国志とかにいそうな名前などと考えていた瞬間、黒田君はとんでもない事を言い出した。
「す、好きな作品は魔法少女 ドキッ☆触手陵辱 デモンハンズです」
エロゲーじゃねーか!!しかも言ったら結構恥ずかしいやつだぞ!!大人しそうな見た目なのに何言ってんだコイツ!!
「じゃ、じゃあ最後に新井君お願い出来るかな?」
流石の部長も軽く引き気味に僕にバトンを渡してきた。仕方が無いので壇上の前まで来た。
「新井智です。好きな作品はパケパンです」
僕はさっさと終えて席に戻っていった。
こうして自己紹介は終わった。
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