第211話 各々の道

 3日後、私は日本に向けて旅に出る。


 少々急ぎ過ぎかも知れないが、今ならまだ日本に向かった筈の隊と合流出来るかもしれない。

 この資料を一刻も早く届ける必要がある。


 それに……少々祖母の顔を見たくなったのもある。


 元気にしているだろうか?


 私は日本に向かうが、セルナとクーちゃんはゴコクエリアに帰るそうだ。

 私が居ない間、私が住んでいた寮で留守番をしてくれるらしい。

 私が再び帰ってくる事を微塵も疑っていない。


 ゴコクエリアに帰ったのならば、司書達に伝えてほしい事がある。

 私は必ずまた会いに来ると。



 オイナリサマは力が戻ったら一度今のジャパリパークを見て回りたいと言う。

 今のフレンズ達の生活をこの目で確かめたいそうだ。

 オイナリサマが言うには、異変が収まり続々と各地の守護けものが目覚め始めたらしい。

 これからは守護けもの達が中心となってジャパリパークの平和を守っていくのだろう。


 ヤマバクは以前と同じ様に遺跡地方で暮らすらしい。

 ただ、彼女には漠然とした目標があり、このジャパリパークを昔より素敵なジャパリパークにしたいようだ。


 まだ、何をするかも決めていないんですけどね。


 そう言った彼女の表情はとても爽やかなものだった。


 ちなみにアカギツネはオイナリサマの下で修行……もとい使いっぱしりをやらされることになった。

 オイナリサマは早速眷属が手に入ったとか喜んでいたが、果たしてそれで良いのだろうか?


 オイナリサマは“ヒトの姿になれる”とは言っても“ヒトになれる”とは言っていないのだ。


 ……まぁ、アカギツネがそれで良いのなら良いのだろう。

 それに……おそらく、苦労するのはアカギツネではなく、オイナリサマの方になる。

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