そして、わたしは旅に出る。
第210話 星の降る夜が明けて
私はフレンズの背中の上で目を覚ました。
酷使した身体は指先まで力が入らず、全身を背中に預けたまま声を掛けた。
やっと目覚めたわね。
その声はゴコクエリアで何度か聞いたことがあるアカギツネの声だった。
そう、私は何故かアカギツネに背負われていたのだ。
聞くところによると私がヒトであると知った日に“ヒト”になる為の手懸かりを探してパークセントラルへ向かったらしい。
あの日以来姿を見掛けてないと思ったらゴコクエリアに居なかったのか。
私以外の皆はどうした?
みんな無事よ。
あの遺跡の中で倒れていた中でアンタがぶっちぎりに大怪我なんだから今はちゃんと休みなさい。
後で聞きたいことが山ほどあるんだから。
──虹色の星が降る夜、異変は終わりを告げた。
それから私は一週間のリハビリ生活を送ることになった。
怪我はフレンズ達の力で直っても、御守りで削られた体力は戻ってこなかったのである。
こうして日記を書くのもまだ少し辛い。
ここからは異変の補足を書いていく事にする。
私達が遺跡地方に侵入してから少し経った頃、別ルートで異変の真っ只中に飛び込んだフレンズがいた。
アカギツネだ。
彼女は成り行きで探検隊のところに居たらしい。
探検隊は異変を解決すべく慎重に作戦を立てていたようだが、そもそも探検隊とは何の関係もないアカギツネはフレンズ型セルリアンの情報を聞いた後に一人で殴り込みに行った。
曰く、作戦会議が物凄く退屈だったから抜け出して探索に向かったそうだ。
探検隊の中ではふらりとやって来たフレンズが消えて騒ぎになり、アカギツネがフレンズ型セルリアンを1人倒したのをきっかけに探検隊を巻き込んだ大乱闘になった。
おかげで私達はスムーズにパークセントラル内に入ることが出来たのだ。
その後、私達があのセルリアンの本体である醜い胎児を倒したことにより、フレンズ型のセルリアン達も消滅した異変は終息した。
フレンズ型のセルリアンと共に遺跡地方を覆うセルリウムが弾けてサンドスターになり、天へ昇っていく様はとても幻想的な光景だったようだ。
そのまま探検隊は異変の終息した原因を探りにパークセントラルに入り、傷だらけの私達を発見して今に至る。
リハビリ生活を送る傍らで私よりも早くに回復したオイナリサマが何かお礼をしたいと言い出したので、オイナリサマにはジャパリパークの研究資料を集めてくれるようにお願いする。
過去のジャパリパークを知ってるだけあって、研究資料はたった1日で集まってしまった。
資料を一通り目を通す。
主にサンドスター技術に関連する資料が多く、その中には気候制御システムに関する資料もあった。
だが、サンドスターを利用する技術の多くは大気中のサンドスター濃度が多い特異な環境で機能するものばかりだ。
代替技術が必要になるか……
それでも0から研究を始めるよりは幾分か良いだろう。
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