第207話 縄張り争い
封印と荷電粒子砲の反動で力を落とした今こそ反撃のチャンスに他ならない。
しかし、長い間セルリアンに力を奪われ続けたオイナリサマではトドメを刺せる程の力はないと言う。
それは普通のフレンズであるオオウミガラスとて同じ事だ。
それでも、ここでセルリアンを倒す希望はある。
アンチセルリウムの槍
オイナリサマからセルナの槍はセルリアンに致命的なダメージを与える物質で構成されていると教えられた。
イヌガミギョウブ、貴女の勘は大当たりだ。
セルナの槍を刺せば決着は着く。
醜い胎児と私達の距離は約80メートル。
私が全速力で走って約10秒。
短い距離が遠く感じる。
私達と醜い胎児は同時に動いた。
弾丸のように飛び出すフレンズ達に対して部屋の側面からセルリウムで形成された紐の付いた車輪が飛び出した。
車輪が部屋を縦横無尽に駆け巡り、フレンズ達に対して攻撃を始める。
移動は直線的だが前後左右からタイミングをずらして襲い、宙に紐が複雑に張り巡らされる。
セルナは障害となるセルリウムの紐を槍を大きく振り回して断ち切って行く。
だが、大きな動作は少なからず隙を生む。
私は壁の一部が砲口のように突出したのを見て、私は砲口の斜線とセルナの間に割り込んだ。
直後に御守りのバリアに高速で打ち出されたセルリウムが当たる。
それを皮切りに壁からいくつか同じ様に砲口が現れて優先的にセルナを狙う。
相手もセルナの槍の驚異に気が付いているようだ。
それはさせないと私はセルナの側に控える。
セルリウムである限りはこのバリアを貫くことは出来ない。
二度目の砲撃。
バリアでセルリウムの砲弾を防ぐことが出来たが、私の口から血が流れた。
遅れてやってくる腹部の激痛。
セルリウムに混ぜられた瓦礫の礫が私の腹部にめり込んでいた。
思わず崩れ落ちそうになる。
その隙を狙って私を排除せん襲いかかってきたバリア対策が施された礫混じりの砲弾をオイナリサマが受け流す。
両手と尻尾、3つの礫はオイナリサマに受け流されてそれぞれの砲口にぶつかり破壊される。
あなた達二人のどちらかが倒れてもいけないとオイナリサマは私達に叱責しながら腕を横凪ぎにして周囲のセルリウムの武器を一掃した。
目まぐるしく変わる戦況の中、少しずつ私達は醜い胎児に接近する。
だが、私達が接近するのと同じく醜い胎児からの攻撃も苛烈さを増し、渦巻くサンドスター・ローが吸収されてい醜い胎児が少しずつ大きくなりながら荷電粒子砲の反動が癒え始めていた。
おそらく、癒えれば二度目の荷電粒子砲が発射されるだろう。
その時に御守りが耐えきれる保証はない。
私達に残された時間はもう僅かしかないのだ。
セルナもそれに気が付いたのだろう。
焦ったセルナが何としても醜い胎児に攻撃を加えようと私達の前に出てしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます