第189話 救出戦
恐竜型の大型セルリアンに襲い掛かるビースト。
元が世界最大級のトラとあって、御守りの力無しでも十分以上に渡り合っている。
おそらく、セルリアンがビーストの癪に触ったのだろう。
生まれたばかりのこのセルリアンの仕業ではないが、木々をメキメキ折りながら進んでいたのだ。
縄張りを荒らされたと思われても仕方がない。
ビーストの事なので、そのままセルリアンを倒した勢いのままこちらに敵意が向かないとも限らない。
ともかく、丁度良いタイミングでやってきたビーストに心の中で感謝の言葉を送りながら逃げて行ったセルリアンを追う。
後で必ず助けに戻るのでしばらく足止め任せた。
必要ないかもしれないが……
私は走りながらオオウミガラスにその場で思い付いたセルナ奪還作戦を伝える。
上手く行けば無傷でセルナを救出出来るのだが、オオウミガラス達はあまり良い顔をしなかった。
と言うよりかなり引いていた。
やはり、オオウミガラス達としては正気の沙汰ではないと言うことなのだろう。
追い始めてから数分
ビーストがほぼ敵対直後に現れたおかげでセルナを拐ったセルリアンとの距離はすぐに縮まった。
何せ、相手はあの巨体で密林の中を進んでいるのだ。
相手が薙ぎ倒して進んでいくので追い掛ける方としてはとても進みやすい。
他のセルリアンの妨害がなかったのも大きい。
手駒が居ないのか操れる数に限りがあるのか、それともビーストに狩り尽くされたのか。
流石に相手も追い付かれると気が付いただろう。
振り返り様に私達に攻撃をしてきた。
それを御守りの力で防いで改めてセルリアンと対峙する。
相手は恐竜型の大型セルリアン。
どういう違いがあるのかは分からないが、先程の赤色とは違い緑色をしている。
本来ならば恐竜の鼻先にあたる部位にある一つ目で私達を見ている。
キツネのセルリアンの姿を見失ってしまったのは心残りだが、今はセルナを救出することに全力を注ごう。
先に動いたのはセルリアン。
セルリアンは地面に倒れてる木をこちらに鼻先で弾き飛ばしてきた。
どうやらセルリアンは真っ先に私を潰してしまいたいらしい。
だが、その攻撃は私に届く前にオオウミガラスが手刀で一刀両断にしてしまう。
これは下手にオオウミガラス達と離れるのは危険か。
オオウミガラスを先頭に私とオオウミガラスはセルリアンに接近を始めた。
一足先にセルリアンに接近する事に成功したクーちゃんは、セルリアンの身体をベシベシ叩いて地味にダメージを与えながら石の場所を探っている。
今回のセルリアンは体の中に石が埋まっているタイプなのだろう。
それっぽく盛り上がった場所を見付けたクーちゃんは激しくベシベシ叩き始めた。
いくらへっぽこ攻撃でも弱点に攻撃されるのは鬱陶しく感じるのか、セルリアンがくるっと身体を回転させて尻尾でクーちゃんを空の彼方へ弾き飛ばした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます