日記外その27 セルナとフレンズ
「はひー……づかれたですー……」
そう言ってコアラは地面に寝っ転がった。
コアラの懸命な治癒のかいもあって、先程まで大怪我をしていたセツナの容態も安定し穏やかな寝息を立てている。
「コアラちゃん!セツナちゃんを助けてくれてありが」
「すぴー」
「なんかもう寝てる!?」
コアラはセツナを治癒して疲れたのか寝っ転がった体制のまま寝てしまっていた。
それに辺りは日が暮れており、昼行性のフレンズはぼちぼち寝始める時間帯なのでコアラが寝てしまったのは仕方無いのかもしれない。
「ボスも手伝ってくれてありがとう」
「……」
先程まで応急手当の指示を出していたラッキービーストはセツナの容態が安定した為か再び喋らなくなってしまった。
「──!」
おら!喋らんかい!とばかりにスカイフィッシュのクーちゃんがラッキービーストをつついているが、ラッキービーストは無言を貫いている。
しばらくして、クーちゃんがラッキービーストをつつくのに飽きた頃にセルナは眠り続けるセツナを見てポツリと呟いた。
「どうして……旅を続けようとしてるんだろう……」
セルナはセツナの大怪我を見て、罪悪感を感じているのか暗い顔をしている。
「それがセツナちゃんだからね」
「セツナ……だから?」
「前にセツナちゃんは強いって言ったけど、それはね。身体が頑丈とか力が強いとかじゃないんだよ」
「?」
首を傾げるセルナにオオウミガラスは右手を自分の胸に当てる。
「セツナちゃんはね。心が強いんだよ」
「こころ?」
「どんなに辛い時だって前を向いて歩いていける。そんな強さ……きっと、セツナちゃんはもう一人でだって何処までも行ける。私はそんなセツナちゃんがいるから、もう一度……」
オオウミガラスは穏やかな顔で寝ているセツナを見てセルナに掛けるように言葉の続きを紡ぐ。
「もう一度、ヒトのいるこの世界で生きてみようって思えたの」
「……」
「……ゴメン、なんか変な感じになっちゃったね。明日に備えて寝よっか」
オオウミガラスは先程の発言を誤魔化すようにセツナの横に寝そべった。
「どうすれば……セツナみたいに強くなれるかな?」
「うーん……やりたいことを見付ければ良いんじゃないかな?セルナちゃんってセツナちゃんと比べて……なんか、ふわふわ……してるし……ふぁあ……おやすみ」
睡魔に負けてオオウミガラスはそのまま眠ってしまった。
話し相手が居なくなったセルナはクーちゃんの横で寝そべり、夜空を見ながら考える。
セルリアンと言う己の起源とも言える存在について。
自分と言うフレンズなのかセルリアンなのかよく分からない存在について。
生まれて間もないセルナは言われるまま流されるままにセツナの旅に付いてきた。
今まで深く考えたことが無かったセルナは目を閉じて考える。
ワタシがここにいる理由を……
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