第179話 大破

 突撃してくるセルリアンをオオウミガラス達は横に避けて回避する。

 体当たりを回避されたセルリアンは急停車してから身体の向きをオオウミガラスに合わせた。

 モノレールを模した身体だからなのか、方向を変えるときは一々止まる必要があるようだ。


 明確な隙。


 オオウミガラスはセルリアンが振り返るのに合わせてその側面に攻撃を叩き込むが、身体をぐらつかせるだけで転倒までには到らない。


 小型ならば何処を叩いてもすぐに倒せるが、やはり大型程になると弱点を叩かなければならない。


 段々と鈍くなってくる頭を回転させて周囲を観察する。


 何か使えるものがないか……


 何か……


 そこだ!


 私は身体を引きずるようにして移動を開始する。

 オオウミガラス達に意識が向いてる間に目的場所にたどり着いた私は有らん限りの大声でセルリアンの注意を引く。


 私の目論見通りにセルリアンは私を攻撃する為に突撃してきた。

 セルリアンと御守りのバリアがかち合って、私の残り少ない体力を容赦なく削り取っていく。


 オオウミガラスが私から離れろとセルリアンに向けて大声を出し、セルリアンはオオウミガラスの声に反応して振り返ろうとする。


 今現在、セルリアンはモノレールの高架橋の残骸の間に左右を挟まれるような状態になっている。

 残骸が邪魔で乗り越えるように半身を上げなければ振り返れない。

 今現在最も不安定な姿勢のセルリアンに向けてクーちゃんの渾身のへなちょこ体当たりがぶつかる。

 私もそれを後押しするようにバリアをセルリアンに押し付ける。


 すると、セルリアンは身体のバランスを崩して横転してしまった。


 弱点は屋根部分。


 セルリアンが再び起き上がる前にオオウミガラスがセルリアンの弱点を一閃。


 形を保てなくなったセルリアンがパッカーンとサンドスターへと還った。


 ……とりあえず、これで危機は去ったか。


 そう思うと全身の力が抜けて私の身体がふらつき始める。


 さすがに無理をし過ぎたか。


 御守りを使ったことも原因ではあるが、そもそもヒトの身体は10メートル以上の高さから落下して無事で済むようには出来ていないのだ。


 頭からは血が流れてるし、左腕は上にあがらないし、感覚もない。

 肋骨も何本か折れてるような気はするが、幸いにも肺に刺さっているものはない。


 自分の怪我の具合を確認する余裕はないが、オオウミガラス達が全員例外なく真っ青な顔色をしているので、相当な大怪我をしている事は理解できた。


 ……今更ながらこれは本格的にヤバいのではないだろうか?


 そして、セントラルに到着してから二日目にして私の身体は限界を迎えた。


 段々と視界が黒に染まっていく。

 オオウミガラス達の声がやたらと遠くから聞こえる。

 上も下も分からなくなり、身体が地面に吸い込まれていく。


 これはヤバい。


 徐々に消えていく視界の中で私は4人の人影を捉えた。


 4人?

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