第178話 脱線
突然の衝撃に私は咄嗟に近くの手摺を掴んで何とか耐える。
何事かと辺りを見渡すと後方に先程まで居なかった筈の存在が現れていた。
セルリアン!?
何処から湧いて出てきた!?
なんと私達の乗る車両の直ぐ後ろにモノレールの車両そっくりな大型のセルリアンが体当たりをしてきていたのだ。
セルナに聞くがセルナも襲撃されるまでセルリアンの存在を感知できていなかった。
セルナの感知をすり抜けて来たのか。
あるいはそれこそ数秒前に発生したのか。
このままではモノレールの車両が壊れてしまう。
私は後方に行って御守りを翳す。
よし!
私の狙い通りに車両の後方を御守りのバリアがセルリアンを阻む。
しかし、時間を稼ぐことが出来たがその後が続かない。
レールの上は狭過ぎて戦場に向かない。
足場が安定している地面に降りるために車両から飛び降りるもレールの位置が高過ぎる。
それにクーちゃんは一人までしか運べない。
駅で降りようにも全速力で走ってもらってはいるが、次の駅までかなりの時間が掛かる。
クーちゃんに攻撃をしてもらおうにも、さすがに大型相手では分が悪い。
せめて、車両の中から直接セルリアンに攻撃できる手段があれば!
そう思ったときにセルリアンは業を煮やしたのかその身体を大きく仰け反らした。
押し潰すつもりか?
まさか……!?
やめて!!
セルナの叫びも虚しく、セルリアンがその大きな身体をレールに叩き付けると、レールが破壊されて車両諸とも私達は地面へと投げ出された。
……全員無事か?
咄嗟に私が御守りの力を使用したことで、何とかオオウミガラス達は無傷でやり過ごせた。
壊れた車両から這い出た私達はモノレール型のセルリアンと対峙する。
まるで車のように地面を走るセルリアンに、モノレールがレール以外のところを走るんじゃあないと文句を言いたいところだが、今の私にあまり余裕はない。
だが、地面に降ろしてくれたお陰でオオウミガラスが全力で戦うことが出来るようになった。
オオウミガラスとクーちゃんがセルリアンと戦うために構えたのを見て、私は腰が引けてるセルナの肩に手を置いた。
まだ、セルリアンと戦う覚悟がないのなら下がってると良い。
あのセルリアンなら御守りの力で強化されたオオウミガラスとクーちゃんで十分だからだ。
私はセルナを後ろに下がらせてセルナの前に出る。
さて、敵は大型セルリアン一体。
攻撃方法はその大きな身体を利用した体当たりやのし掛かり。
だが、その身体の構造はモノレールと酷似している。
バスと違いレールを挟むような構造になっているそのタイヤ部分での地面走行はとても不安定だ。
横からだ。
そのセルリアンは横からの衝撃に弱い。
オオウミガラス、クーちゃん!
私の事は気にしないで良い!
目の前のセルリアンに集中してくれ!
そのセルリアンの弱点は横からの衝撃だ!
後は……任せた!!
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