第173話 御守りの力
突然、湧いてきたように現れたセルリアンに前後を囲まれて逃げ道を失ってしまった。
相手は簡単に倒せる小型セルリアンのみではあるが、全てを倒すとなると数の暴力の前に体力が持つか分からない。
まぁ、逃げ出そうと思えば必要最低限のセルリアンを倒して正面突破をする方法もある。
危険度としては今までに比べればかなり低いだろう。
……さて、試験運用をするとしようか!
私が御守りをフレンズ達の前に翳すと、御守りが光り輝きフレンズ達の力が強化される。
私はこの御守りの力を熟知していない。
何か本当に危険な事があった時に御守りが使えない等と言う事がないように、ここである程度把握しなければならない。
御守りの力で強化されたオオウミガラスが前に出てセルリアンに腕を振るうと、一振りでまとめて5匹のセルリアンを薙ぎ払った。
普段のオオウミガラスからは考えられないキレのある動きで次々とセルリアンを倒していく。
そんなオオウミガラスの動きとは関係無く、今度は突然セルリアンが破裂する。
次々と原因不明の破裂を起こすセルリアンに私が何が起きたか把握しようとすると、オオウミガラスが驚いたようにとあるフレンズの名前を口にした。
クーちゃん!?
原因不明のセルリアンの破裂。
それは物凄い高速で動くクーちゃんの仕業だった。
御守りで強化されたオオウミガラスの目には辛うじてクーちゃんの動きが見えているようだが、私の目には白い軌跡すら見えない。
しかし、数が数だけにオオウミガラスとクーちゃんが撃ち漏らしたセルリアンが私のところへやってくる。
それを迎撃する為に私はセルリアン目掛けて拳を振るおうとするが、セルリアンは何故か私の少し手前で壁にぶつかったかのように、動きを止めてしまった。
どうやら御守りには発動者を守るバリアのような機能を備えているらしい。
そして、セルナは……
セルリアンに虐められていた。
セルリアンに攻撃をされていると言うことはセルリアンから仲間として認識されていないと言うことなのだろう。
私はセルナを攻撃しているセルリアンに近付いてセルリアンを御守りの力で追い払う。
私はセルナにどうしてセルリアンを攻撃しないのかと問う。
セルナは泣きながら争いは良くないと言う。
だから、攻撃はしたくないと言う。
それはセルナが争いを好まない性格だからなのか、セルリアンを同族だと思っているからなのか。
それとも両方なのか……
セルナ、争いは良くないと言うその気持ちを否定するつもりはない。
誰だって平和が一番だ。
だが、時として拳を握らねばならない。
大切なものを守るために、己の意思を貫くために……
今のセルナにはこの話の意味を理解できないかもしれない。
だが、本当に守りたいと思えるものが出来たのなら、きっとセルナにも理解出来るようになるだろう。
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