第162話 宴の終わり
祝勝会が終わり会場の片付けが始まった。
フレンズ達と何処からか現れた大量のラッキービースト達によって瞬く間に片付けられてしまう。
仕事を終えたラッキービースト達はまた何処かへと去っていってしまった。
だが、私のことをパークのお客様と判断してか、私に話し掛けた一体だけが私の側に残り、フレンズ達から質問攻めにあっている。
ボスって喋れたの?
ボスってどのくらいいるの?
ジャパリまん好き?
等々……
しかし、ラッキービーストはフレンズ達の質問には答えず沈黙したままである。
無視しないでよっ!!
黙ったままのラッキービーストに怒ったフレンズが詰め寄ろうとしたので、私はそのフレンズを止める。
ラッキービーストはフレンズと話すことが出来ない。
いや、許可されていないと言った方が適切か?
理由は……営利的な問題だろう。
フレンズがラッキービーストと必要以上に仲良くなり、パークのお客様そっちのけでラッキービーストに構ってしまう事を防ぐ為だと思われる。
それとも別の理由があるのだろうか?
お客様に裏事情を話せないのか黙して語らないので真相は分からない。
とりあえず、フレンズ達にはラッキービーストがずっと昔の約束を律儀に守ってる結果、フレンズ達と会話しないと伝えた。
ラッキービーストも色々大変なのだ。
意外と長生きしているコイちゃんにラッキービーストについて何か知ってるのか聞いてみるが、コイちゃんも殆ど何も知らないらしい。
当時のフレンズ達の間ではパークガイドのお手伝いをするぬいぐるみ程度の扱いだったようだ。
それがいつの間にかボスか……
随分と出世したものだ。
さて、日が落ちる前に帰るとしよう。
祝勝会の片付けも終わってフレンズ達が各々の縄張りに向けて移動し始めたのに合わせて私達も寮へと帰ることにする。
明日からはセントラルエリアに向けて旅の準備を始めなくてはならない。
その時、祝勝会に遅れてやってきたフレンズがいたようで、宴って言ったら夜通しどんちゃん騒ぎが基本でしょとか言って迷惑にも帰ろうとしているフレンズに絡んでいる。
しかも、お酒は無いのかとか言っている。
アルコールなんて元動物のフレンズが嗜むわけないのに何を言ってるのか……
質の悪い酔っぱらいみたいにごねているフレンズを諌めるべく、私は声のする方へと向かう。
大きな丸い尻尾が目立つフレンズ。
おそらく、タヌキのフレンズだろう。
だが、その姿を見たときに私は軽い既視感を覚えた。
脳裏に浮かんだのは竹林、そしてシーサー達。
完全な直感なのだが私は確信を持ってそのフレンズに話し掛けた。
貴女はこのゴコクエリアの守護けものなのかと……
そう私に言われたフレンズは不適な笑みを浮かべながら私の方を見る。
意外と鋭い感性を持ってるみたいだねん。
そう言って彼女は自己紹介を始める。
私の名前はイヌガミギョウブ、ジャパリパークの守護する守護けものの一柱。
後、ついでにもう一人君達に紹介して置こうかねん。
イヌガミギョウブの後ろから現れた存在を見て、私の隣にいたオオウミガラスは大きく目を見開いて息を飲んだ。
イヌガミギョウブの後ろから現れたのは“私”だった。
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