第160話 ライブ開催
ステージの方へ目を向けると司書がマイクを片手にスカイレースの授賞式の司会を始めていた。
近年のゴコクではかなり大きなイベントだったが、全てのフレンズが知っていた訳ではないので、スカイレースの概要を説明しなければならない。
現在、この場所にはゴコクのほぼ全てのフレンズが集まっているので、宣伝するには良い機会だろう。
ハクトウワシも来年もやるから参加者を待ってると宣伝している。
きっと来年はもっと賑わうことだろう。
そして、いよいよスカイレースの優勝者であるハヤブサが表彰台の上に立ち、司書から金色に輝くトロフィーを渡される。
あれだけの事件が有りながら、奇跡的にトロフィーは無傷で回収されたらしい。
ゴコクのフレンズの総力戦とも言えた巨大セルリアン事件並びに女王セルリアン事件はまとめてゴコク事変と司書によって命名された。
ある意味ジャパリパーク特有の自然災害と言えるゴコク事変が再び起こらないとは限らない。
10年先……いや、もしかしたら100年先になるかもしれない。
ジャパリパークを守るために、この出来事はしっかりと後世に伝える必要がある。
さて、暗い話題はここまでにしましょう。
司書は手を上に上げて声を張り上げる。
この場は祝勝会でございます!
みんなでジャパリパークの危機を乗り越えたことを祝いましょう!
そう司書が言った後にステージの後ろからペンギン達がステージの上に上がる。
そして、ペンギン達による一度限りの祝勝会のライブが始まった。
結成してからそれほど経っていない筈だが、皆センスが良いのか様になっている。
1曲目は私も何度も耳にしたことがあるジャパリパークのテーマソングだ。
ただ、楽器が足りないためにバンドアレンジになっている。
ノリの良い曲の為か聞いてるフレンズ達のテンションも上がっていく。
次の曲は私の知らない曲。
ジャンルとしては卒業ソングに分類されるだろうか?
何処と無く別れの切なさと再会への希望を感じさせる曲だ。
歌詞にジャパリパークの要素がないので、もしかしたらジャパリパークとは関係の無い曲なのかもしれない。
2曲目が終わり、オオウミガラスが観客達に声を掛ける。
みんなー!元気ー?
なんかペパプになった気分なんて言いながら、観客達に向けてトークショーが始まる。
最初は司書への愚痴。
いきなり司書に押し付けられた時は本当に驚いたようだが、歌うこと自体はとても楽しかったらしい。
次にバンドのメンバーの紹介が始まる。
キングペンギンは自己紹介をしながら観客達に向けて爽やかな色気を振り撒いている。
前から思っていたがキングペンギンはキングと名が付いているが、どちらかと言えば王子様のように見える。
アデリーペンギンは良くも悪くも普通の自己紹介。
自分はアイドルには向かないねーなんて自虐混じえて笑いを取っている。
ケープペンギンは……
これはダメかもしれない。
注目が集まってガッチガチに緊張して、マンシンガンの如く吃っている。
ケを高速で連呼されると不気味な笑い声のように聞こえて地味に気味が悪い。
観客からは頑張ってーと暖かい声援が送られている。
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