第159話 宴の始まり
祝勝会が開催された。
私と料理部隊等の運営側のフレンズ達は早起きして頑張った為に始まる前に若干疲れ気味だ。
だが、疲れた甲斐があってかテーブルの上にはたくさんの料理が並べられている。
皆も美味しいと言いながら食べているのは良いのだが……
スカイレースの授賞式までに食べ尽くさないでもらいたい。
おかわりは用意してないんだ。
辺りを見渡せば一面フレンズだらけ。
ゴコクエリアにはこんなにフレンズがいたのか……
この感想を抱いたのは私だけではないようで、隣にいるセグロジャッカルも似たようなことを呟いている。
ゴコクのフレンズ達が一ヶ所に集まるなんて言うことは今までなかったのだろう。
辺りをぐるりと見渡すとフレンズ達の中に白い液体が入ったコップを持ってるフレンズ達が何人かいるのが目に入った。
気になってコップを持ってるフレンズに中身を聞いてみるとどうやらミルクのようだ。
このミルクは祝勝会の会場の片隅で配られているようなので、私もミルクを貰いに行く。
ミルクを配っていたのはウシのフレンズ。
名はホルスタインと言うらしい。
普段は平原で牧場を営んでいるようだ。
結果的に家畜が家畜の世話をしているのか……
人が居なくなってしまった以上、人が行っていた役割をそのままホルスタインが引き継がざるを得なかったのだろう。
元家畜である彼女は人である私に対して何か感じるものがあるのか、時折私の方へ視線を向けている。
スカイレースの授賞式が始まるまでセグロジャッカルと話をしていると私の元にフタコブラクダが訪ねてきた。
彼女とは砂漠地方以来だろうか。
フタコブラクダはあれからジャパリパーク中を旅して砂漠地方の宣伝を行い、この度砂漠地方でツアーを行うことになったらしい。
その名も“砂漠の星空ツアー”。
暑いのが苦手な子達のために夜に移動を行うツアーのようだ。
フタコブラクダは私にツアーに参加しないかと誘ってくれたが、今回は辞退させてもらう事にした。
また、何時の日かここを訪れた時に案内してもらおう。
フタコブラクダと話しているとフタコブラクダの後ろからタイミングを見計らったかのように、のそりとマヌルネコが現れた。
彼女もまた私の姿を見かけて寄ってきたらしい。
マヌルネコが言うにはツンドラ地方は雪融けの季節のようで所々地面が剥き出しの状態となっているようだ。
そして、その雪融けに合わせて他の地方のフレンズ達がツンドラ地方にやってきた。
どうやら、ツンドラ地方にある温泉の噂を聞いてやって来ているらしい。
そんなフレンズ達をマヌルネコは温泉に案内していたせいか、なし崩し的にいつの間にかあの旅館の管理人的なことをやらされることになったようだ。
以前と比べてフレンズ達が利用することが多くなったので、マヌルネコを含む何人かのツンドラ地方のフレンズ達が旅館の掃除を行ったようで、今では見違えるほど綺麗になったとのこと。
ちなみに最近その旅館にはジャングル地方に住んでいるシロクジャクが入り浸っているとか……
彼女は夏の間毎日温泉に入るつもりなのだろうか。
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