第156話 料理教室開催

 せいれーつ!!


 私の号令にフレンズ達が綺麗に整列する。

 フレンズ達の前に立った私は一人一人に問いかけるように語り掛けていく。


 本日、貴女達に集まってもらったのは祝勝会の花を飾る料理を作るためだ。

 しかし、料理は生半可な覚悟では作れない。

 今一度貴女達に問おう。


 料理を食べたいか!


 おー!


 美味しい料理を食べたいか!


 おー!


 美味しい料理を作りたいか!!


 おおおおおおおおお!!!


 ……気合いが入り過ぎて野生解放してしまってる子がいる。


 さて、本日は祝勝会に向けての料理教室の開催である。

 各地で料理を作ってみたい子を司書がかき集めた結果、それなりの人数が集まった。

 どちらかと言えば作ってみたいより、食べてみたいの割合が多い食い意地の張ったフレンズが多いように見えるが……


 そして、料理係を集めてきた司書はテーブルの前に座って、フォークとナイフを持ってニコニコとこちらの方を見ている。

 どうやら司書は人員をかき集めた事を理由に味見係に着任するそうだ。

 楽して美味しいポジションに居座りやがった。


 それに気が付いた何人かのフレンズは私と同様に白い目で司書を見ている。

 集まったフレンズ達の中で一番食い意地の張ったフレンズは司書なのかもしれない。


 さて、司書のことは放って置いて料理教室を開催することにしよう。


 私は事前に準備をしておいたホワイトボードを使ってフレンズ達に説明をする。

 特にフレンズ達は字を読めないし、言葉で言ってもイメージする事が出来ないから、分かりやすく絵を使って料理のイメージを持ってもらうことにした。


 一通り説明を終えて実際に調理を目の前で実演してから、フレンズ達に各々料理を開始してもらう。

 無論、火を使う過程に関しては私が受け持つ事になる。


 美味しいものが食べたいのか皆素直に食材を切ったり混ぜたりしている。

 そして、私は切られた食材に火を通して調理を行う。


 しばらく、フライパンで食材を焼いていると隣に気配を感じたので振り向いてみると、私がフライパンで調理しているのをじっと見詰めているフレンズが居たのだ。

 まさか、火を恐れないフレンズがいるとは……

 見た目はネコ科のフレンズで、食材を切り終わって私が何をしてるのか気になって見に来たらしい。


 名はイエネコと言うようだ。


 ……家猫?


 もしや、私が知っている一般的な家庭で飼われているネコその物ではないだろうか?

 だとするならば、人との関わり合いが深かった為に火への警戒心を忘れてしまったと言う可能性も考えられる。


 しかし、これは思わぬ戦力だ。


 私一人で受け持つ事になるだろうと考えていた火を使った調理を二人で受け持つ事が出来る。

 そうすれば、私への負担が減るばかりでなく作業量の関係で諦めていたいくつかのメニューを追加する事が可能だ。


 よし!

 せっかくなので猫の手を借りることにしよう!

 私はイエネコには特別に火を使った調理を教えることにした。

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