ゴコクで過ごす日々
第154話 夜に住まう悪戯者
本日は何もなく、素晴らしい1日だった。
と、胸を張って言えたのは日が昇っている間のことだった。
ジャパリパークには夜にこそ活発的になるフレンズが多く居る。
そんな夜行性のフレンズが日が暮れてから寮へやってきた。
ナミチスイコウモリだ。
日記を開いていざ何か書こうとしたが、特に書くことも思い浮かばずに悩んでいた時の来訪だった。
何しに来たかと問えば、ナミチスイコウモリは私の顔を見に来たのだと言う。
そう言えば、ナミチスイコウモリは遊園地に住んでいる筈だ。
日中はアデリーペンギン達がバンドの練習をしている筈だが、迷惑になっていないだろうか?
特に迷惑になっていないようだ。
以前のアレに比べれば子守唄同然であり、むしろ寝れないどころか快眠だそうだ。
それなら良かった。
最近、ナミチスイコウモリは罠に凝っているらしい。
ナミチスイコウモリはアカギツネやゴリラと共に人型のセルリアンを追い回していた時に罠を学んだらしく、遊園地周辺に罠を仕掛けている。
落とし穴から上からアミが降ってくるものなど、色々な種類のものを作っているようだ。
ただ、ナミチスイコウモリも練習の段階で他のフレンズに迷惑を掛けるつもりはないようで、極力フレンズ達が普段通らないところに仕掛けているらしい。
……あ!
突然声を漏らした私にナミチスイコウモリはどうしたと問い掛ける。
何と言うかタイミングが悪かったと言うか……
私が思い出したのは昨日やってきたハンター達の事だ。
確か、セルリアンが出ないように遊園地周辺をパトロールすると言っていた。
パトロールをするのだから普段はフレンズ達も通らない場所も通るようになる。
つまり、もしかするとハンター達はナミチスイコウモリの罠に掛かっているかもしれない。
明日、一緒に仕掛けた罠を見て回ろうか。
しばらくナミチスイコウモリと話していると中々私が寝に来ないことが気になったのか、上の階からクーちゃんが降りてきた。
あー!!白いの!!
ナミチスイコウモリはクーちゃんの姿を見ると声をあげる。
クーちゃんはそんなナミチスイコウモリを見て、空中でクラウチングスタートのようなポーズを取る。
地面に接地していないのに推進力が得られるかは不明だが、クーちゃんはナミチスイコウモリに向けて突進してきた。
いきなり突進してくる奴があるか!
私は飛んでくるクーちゃんを捕まえて拘束する。
とりあえず、どうやら二人は知り合いのようだが、どう言った繋がりなのだろうか?
ナミチスイコウモリ曰く、いきなり追い掛けてくる変な奴。
クーちゃん曰く、狩りごっこをする遊び相手。
……言い分が食い違っている。
クーちゃんはナミチスイコウモリの事を遊び相手だと思って追い掛けていたようだが、言葉を喋れないので誤解が解けないままでいたようだ。
言葉を喋れないフレンズはクーちゃん以外見たことがないくらい珍しい。
なので、ナミチスイコウモリもまさか相手が喋れないとは思っていなかったらしい。
改めて二人はお互いに自己紹介をする。
喋れないと知ってクーちゃんに感じていた不気味さも無くなったようで、ナミチスイコウモリはクーちゃんの差し出した手を笑顔で握り返す。
クーちゃんはハッとしてナミチスイコウモリの手を離して自分の手の平を見る。
クーちゃんの手のひらは何かの果物の汁で赤色に染まっていた。
キッキッキッ!
イタズラ成功!
どうやらクーちゃんに新しい友達が出来たようだ。
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