第151話 悩み相談

 ジャパリパークではフレンズ達が日々を思いのままに過ごしている。

 だが、そんなフレンズでも悩みというものを抱えている事がある。


 本日、やって来たのはホッキョクギツネ。

 以前にツンドラ地方を旅したときに出会ったフレンズだ。

 同じキツネのアカギツネに比べると耳が小さく、全体的にモコモコしている。

 そして、雪に紛れてしまえば気付かずに踏んづけてしまうくらいに全身が真っ白である。


 以前は思いっきり踏んづけて怒らせてしまったが、特に気にしていないようだ。


 本当は図書館へ向かうつもりだったようだが、暑いジャングル地方を横断するのは辛いし、迂回して向かうのも面倒。

 そして、思い出したのが私のことらしい。


 そう言えば、あの時はセグロジャッカルが私のことを頭の良いケモノとか言って紹介していたような……


 だが、私は司書ほど頭は良くない。

 解決できるかどうかは分からないが、相談を受けるとしよう。


 ホッキョクキツネの悩みと言うのは暑い夏を涼しく過ごす方法について。


 ……ツンドラ地方から出なければ良いのでは?

 確か、夏場は雪こそ溶けるがそれでも他の地方とは比べ物にならないくらい涼しいと聞いているが……


 ホッキョクギツネが言うにはそれでもまだ涼しさが足りないのだと言う。


 どうしろと言うのだろうか……


 私の頭の中ではホッキョクギツネを冷凍庫の中に入れると言う案が出ているが、電化設備の使えないこのジャパリパークに置いては現実的ではないだろう。


 ホッキョクギツネも無理な相談だと言うのが分かっているのか、私が悩んでいる間にジャパリまんをむしゃむしゃと食べている。


 実は遊びに来ただけなのではないだろうか?


 ジャパリまんを食べてるホッキョクギツネを見て、確かにその極寒仕様の装いではツンドラ地方の夏でも暑いだろうと考えていると、私達の上をクーちゃんがゆっくりと横切る。


 ホッキョクギツネに対して同じ真っ白なフレンズであるクーちゃんのノースリーブの格好はとても涼しそうに見える。


 ……あ、そうか。


 どうやら私の頭はかなり固くなっていたようだ。

 私はホッキョクギツネに服が脱げることを知っているかを質問をする。


 よし。

 ホッキョクギツネは旅館で服の脱ぎ方を教わっていたようだ。


 じゃあ、少しだけ脱いでみようか?


 ホッキョクギツネから上着を二枚剥ぎ取ると中からアカギツネそっくりな形のグレーの服が出てきた。

 元がもこもこしているせいで、上着を取るとかなり印象が変わってくる。


 どうやらかなり涼しくなったようで、ホッキョクギツネは嬉しそうにしている。


 私は人は服を重ね着したりして温度調節を行っていると言う当たり前の事を忘れかけていたのだ。

 と言うより心の中でフレンズは別じゃないかと考えていた節がある。

 同じツンドラ地方出身のオオウミガラスやアデリーペンギンが、どう見ても薄着になれるような服の構造をしていなかったのも大きいかもしれない。


 今回は何とかなったが、面倒な相談はこれで終わりにして欲しいものだ。

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