第148話 ニューメンバー?
何やら聞こえる筈のない音がする……
凡そ椅子やテーブルを動かすのに相応しくない音が鳴り響いているので、広場の方へ向かってみるとオオウミガラス達は椅子に座ってステージの方を見ていた。
ステージの上には3つの楽器と3人のペンギン達。
キングペンギンとアデリーペンギン、そして見知らぬペンギンが一人いた。
アデリーペンギンはこちらに気付くとバチで振り上げてドラムを鳴らす。
どうやら、バンドをしているらしい。
私達が密林へ旅に出てから楽器に興味が湧いたようで楽器をこのステージに運んで日夜練習をしており、今も練習の最中らしい。
ちなみに見知らぬペンギンはケープペンギンと言う別のエリアに暮らすペンギンのフレンズ。
ペンギンなのに寒いところが苦手と言う変わった奴だ。
ケープペンギンはペパプ結成の噂を聞いて、エリアの移動をしている最中に海で大量のセルリアンに追い掛けられてゴコクエリアに迷い込んだらしい。
その後、アデリーペンギン達に捕まってそのままズルズルとバンドメンバーに入れられてしまったようだ。
そう言えば、密林へ行く前に大量のセルリアンが海から上がってきた事があったか。
その時にケープペンギンが紛れ込んでいたのかもしれない。
今はゴコクエリア周辺の海域にはセルリアンはほぼいないので帰ろうと思えば帰れると思うのだが……
そう言うとケープペンギンは、まだ海には近付きたくないと凍り付いたような表情で言う。
セルリアンの群に追い掛けられたことがトラウマになってるようだ。
その気持ちは良く分かる。
私も一時期トンネルの中でセルリアンに追い回されてから、トンネルに入ることが怖くて仕方無かった。
それより、キングペンギンとケープペンギンが手に持っている楽器がギターとベースに見えるのだが、人差し指から小指まで繋がっているその手でどうやって弾いているのだろうか?
気合いとか言われても困るが……
暗い顔で全国ツアー、ここにも来るはずとぶつぶつ呟くケープペンギンを放って置いて、キングペンギンとアデリーペンギンがステージから降りてきて私の側に寄り両側から私の手を掴んでぐっと上に持ち上げる。
ぼーかる確保ー!!
ぼーかる……?
ボーカル!?!?!
そのまま私をステージ上へ引き摺り込もうとする畜生ペンギン達に必死に抵抗しようとするが、元からフレンズの筋力に負けてしまってる上に両手を捕まれてしまっているので勝てる訳がない。
くっ!
どうして私をボーカルにしようとするのだ!?
私の叫びにアデリーペンギンはニヤリと笑みを浮かべて言った。
だって歌、上手いじゃないですか。
また、聞きたいんですよ。
ねー、オオウミガラス。
うん、聞きたい!!
態々外野を巻き込んで逃げ道を無くすつもりか!!
そこまで私にボーカルをさせたいか!!
一緒に祝勝会の盛り上げ役をやろうとバンドに引き摺り込まれそうになる私を見て、一人のフレンズが立ち上がった。
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