宴に向けて
第147話 祝勝会の下見
朝、私は顔面を濡れたタオルで擦られて目を覚ました。
ゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシ
いい加減にしろ!!
早朝からゴシゴシ擦り付けてくるオオウミガラスとクーちゃんに制裁を加えて何故そんなことをしたのか事情聴取を行う。
擦ったら落ちるかなって……セツナちゃん、黒くなってるよ。
………………
鏡で自分の顔を確認すると昨日より少しだけ黒くなっていた。
所謂、日焼けである。
南国の強烈な日差しを浴びて私の肌は黒くなってしまっている。
元々、小麦色に近い肌が更に焦げてしまったのである。
その事を二人に丁寧に説明し、決して汚れている訳ではないことを伝える。
だが、二人は頭に疑問符を付けたままだ。
もしかしたら、フレンズは日焼けとは無縁の存在なのかもしれない。
さて、今日は遊園地へ下見に向かう予定だ。
もちろん、司書も来る予定ではあるのだが……
予想通りと言うか案の定と言うか、司書はセグロジャッカルと共に朝食をたかりに寮へやってきた。
見慣れぬフレンズが居たためか、司書はクーちゃんを見た時に目を見開いて驚いていた。
司書よ。
クーちゃんの正体を知っているのか?
知らないようだ。
動物図鑑の中身を大体暗記している司書でもクーちゃんのような特徴を持つ生物は知らないと言う。
なので、自分の知らない獣が現れたので驚いたそうだ。
次に司書は私の方を向いて、何度か瞬きを行いじっと私の顔を見詰める。
……何処かへ行きましたか?
模範解答をありがとう。
司書だけは人が日焼けをすると言う事を知っていたので、私の肌の色が黒くなったことに対して普通の質問を投げ掛けてきた。
その事も含めて話すからとりあえず朝食にしよう。
リウキウエリアでの出来事を話すと司書は外の世界から流れ着いた自立稼働兵器に物凄く興味を示した。
中のセルリアンを倒したのでもう無害だとは思うが、物騒極まりない物なのであまり近付くのはお勧めしない。
後、オオウミガラスは私がハブに勝った事を広めないでくれ。
ただでさえ噂で私が強いフレンズとなっているのに、その根拠を補強するようなことは言わないでほしい。
私はとてもか弱い獣なのだから……
…………
皆、目を逸らすな。
何か言え。
朝食を食べ終えた私達は今度こそ遊園地へ向けて出発をする。
これで何度目かの遊園地への訪問だ。
確か遊園地にはナミチスイコウモリが住んでた筈だが、戻ってきているだろうか?
遊園地に到着した私達はくじ引きで二手に別れる。
私とセグロジャッカルがレストランの下見へ、司書とオオウミガラスとクーちゃんが広場の下見へ向かう。
レストランの中は多少荒れておりイスやテーブルが壊れているものもあったが、厨房の中は綺麗なものでコンロ等を動かしてみたが問題なく動いた。
包丁も多少錆びている物もあるが、砥石で研磨すれば使えるようにはなるだろう。
後はパネルで食材の注文を行い、当日に調理を行うだけだ。
何かしらトラブルがあるかと思ったが、意外と順調に進んだ。
まぁ、ただの下見でトラブルに巻き込まれるのがおかしいのだが、最近はトラブル続きで感覚がおかしくなっていたのかもしれない。
では、司書達の様子を見に行こうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます