第135話 小雨の降る日
異変が終息したばかりだと言うのに、既にいつも通りの日常が戻りつつある。
異変による傷跡は超巨大セルリアンによって薙ぎ倒された木々くらいのものだ。
まるで、異変が悪い夢であったかのような印象を受ける。
さて、今日は特にすることもないのでしっかりと身体を休めようと思う。
今後の予定も考えなければならない。
船の燃料も確保出来たので、この島を離れようと思えばいつでも行くことが出来る。
その前に操作の練習もしなくてはならないが……
少しうとうとしながら今後について物思いに耽っていると寮にクーちゃんがやってきた。
外は小雨が降っていたようで、少しだけ水滴を付けたクーちゃんが私の姿を確認すると飛び付いてくる。
ただし、この行為はクーちゃんが私の身を案じていたからではない。
残念ながらクーちゃんは異変に全く関わっていない。
故に何があったのかも全く把握していない。
飛び付いてきた理由も独りぼっちで寂しかったからという理由である。
クーちゃんについては10日以上ほったらかしの状態ではあるが、私達以外に遊び相手は居なかったのだろうか?
居ないらしい。
クーちゃんに友達の人数を聞くと私とオオウミガラス、少し迷った素振りを見せたがもう一人いるようだ。
おそらく、友人候補なのだろう。
ちなみにオオウミガラスに同じ質問を投げ掛けるとたくさんと言う返事が来た。
ペンギン2名にアラスカラッコ、イッカクなどのイルカ達、セグロジャッカル、私、コンゴウインコ、トナカイ等々……
出逢った側から友達になっているのではないだろうか?
私の場合は……
クーちゃんにとやかく言えるほどの人数では無かったとだけ言っておこう。
既に私の友人リストは人よりフレンズの方が多くなってしまっている。
ところで、と言った感じのジェスチャーでクーちゃんが私達に今まで何をしていたのかを聞く。
今回はサバンナ地方への旅にスカイレース、そしてジャパリパークの危機とも言える2つの異変。
特にスカイレースと異変は同日に起きた出来事である。
そう考えると密度的には一昨日が物凄く濃い1日だったと言えるだろう。
普段はあまり縄張りの外へ行かないクーちゃんでも他の地方の冒険には惹かれるものがあるらしく、しっかりと私の話を聞いてくれている。
そして、超巨大セルリアンとの戦いの話になったのだが、クーちゃんは超巨大セルリアンの大きさにあまりピンと来ていないようだ。
なので、紙に超巨大セルリアンとフレンズの大きさの対比を分かりやすく描いた。
クーちゃんは超巨大セルリアンとフレンズの大きさの対比を見て大袈裟じゃないの?と態度に出しているが、実際に遭遇すればそのプレッシャーも相まってより巨大に感じた筈だ。
そして、私が旅の事を話し出すと相変わらず聞き手に回るオオウミガラス。
対女王戦は貴女が主役なのだから、その部分だけはしっかりと自分の口で語って欲しい。
しかし、こうして絵にした超巨大セルリアンの形を改めて見ると、やはり四足歩行型戦車そっくりである。
戦闘用に特化すると行き着く形状の1つと言うことなのだろうか?
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