第134話 帰宅
衝撃の事実を知り真っ白な灰になっている私の所へ、ヘロヘロのオオウミガラスがやってくる。
どうやらオオウミガラスの方ではアメリカバイソンに腕試しをされていたようだ。
セルリアンの女王を一人で倒したその力を見てみたい。
セルリアンハンターとして至極当然の要求にオオウミガラスは全力で拒否する。
そもそも、オオウミガラスの身体能力は遊泳速度を除けば、ヒトに毛が生えた程度の身体能力しかない。
一般的に弱い部類のフレンズである。
あの時の力が湧き出してくるような不思議な現象でもない限り、オオウミガラスの戦闘能力は大したことはない。
それを理解していたからこそ拒否をしたのだが、問答無用とばかりにアメリカバイソンの突撃を喰らって図書館の前の川へ撥ね飛ばされる。
なお、オオウミガラスは野生解放状態であり、アメリカバイソンは野生解放をしていなかったそうだ。
地力の差は絶望的である。
セツナちゃん、なんかわたしもう帰りたい……
奇遇だ。
私も猛烈に帰りたい気分なんだ……
だが、直ぐには帰れない。
私はこれから司書と祝勝会についてミーティングがある。
非常に憔悴しているがそれでもやることはやっておこう。
オオウミガラスに帰りのタクシー(猛禽トリオ)を確保してもらって司書とミーティングを始める。
タクシーの料金は料理払いで。
では、会場を何処にするか?
最低でも今回の決戦に参加したフレンズの人数が入る分の広さは確保しなければならない。
次に調理場。
司書は祝勝会にかこつけて料理を食う計画を立てているのか、祝勝会には料理は付き物だと力説している。
……きっと、私が作ることになるのだろう。
火の取り扱いは無理だとしても、最低でも食材を切る部隊を用意して欲しい。
さて、必要なものは広さと調理場。
その2つが備わっている所となると……
遊園地だ。
確かあの場所には放棄されたレストランもあった筈だ。
今も使えるかどうかを確認しなければならないが、仮に使えなかったとしても寮の食堂があるので、料理については心配はない。
スペースについてはステージ前の広場が良いだろう。
料理のメニューは手で食べられるものが良い。
多くの人数が来るので、フレンズ一人一人に箸やスプーンの使い方を教えては切りがない。
そう言うことを踏まえて考えると、サンドイッチ等が良いかもしれない。
それに挟む具を作ってしまえば後はフレンズ達だけでもサンドイッチは作れる筈だ。
トントン拍子で終わった祝勝会の計画。
二週間後に開催決定となり、各々それに向けた準備を始める事になる。
オオウミガラスが確保したタクシー(猛禽トリオ)に乗せてもらって港へ出発する。
行きはあれだけ苦労した道を空を飛べばあっという間に到着するのだから、飛べるフレンズが羨ましい。
私はこれまでの旅を振り返りながら眼下に流れる景色を眺める。
色んな地方に行って、色んな物を見て、時には厄介なトラブルにも巻き込まれた。
苦労ばかりの旅だったが時が経てば、それは思い出話になるだろう。
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