第133話 衝撃の真実
異変が終わり平和を取り戻したフレンズ達は図書館から各々の縄張りへ帰っていく。
これからどうするべきか……
記憶を取り戻した私はこれからどう動くべきか分からなくなってしまった。
あれから約1ヶ月も経過してしまった今となっては、急いで日本に向かったところで合流には間に合わないだろう。
チームの中で私がどう言う扱いになっているのかも不明だ。
せめて、無線機があるのならば連絡を取れるのだが……
ならば、今は別行動を取って気候制御システムの調査に回った方が良いだろう。
自立稼働兵器の暴走を止める作戦が成功しても失敗しても環境修復が必要なことには変わりない。
どの道、最終的には船の燃料が必要になるので、燃料探しはそのまま継続することになる。
外で遂にニホンオオカミに捕まって、若干嬉しそうに見えるトラを眺めながら物思いに耽っていると司書が話し掛けてきた。
自分達の方では結局御守りの発見には至らなかったが、私達の方ではバスを見付けられたか気になったそうだ。
私達の方も捜索は難航していて、バスの発見には至っていない。
やはり、アカギツネが海に沈めたバスが最後だったのでございましょうか……
何気無しに呟いた言葉に我が耳を疑った。
ゴコクのトラブルメーカーアカギツネ。
人がやっていたことを片っ端からやろうとするアカギツネは無論バスの運転にも手を付けた。
だが、制御できずにサバンナ地方の断崖の下に落としてしまったようだ。
そして、その残骸が4つのタイヤとやたら大きなバッテリーのみである。
バッテリーのサイズから推測するとバスは電動自動車だったようだ。
バスが電動であったことを知り、例えバスを見付けられても船の燃料を確保できないと知って肩を落とした。
だが、この落胆はまだ序の口だ。
次にどうしてバスを探していたのかと言う質問に私は素直に答える。
船の燃料に流用できると思って探していた。
だが、このバッテリーを見る限りではバスを見付けられても船の燃料を確保できなかっただろう。
船の燃料を探していたのでございますね。
それなら、言って頂けたら用意しましたのに……
耳の奥で嫌に鼓動が大きく響く。
脳が司書の言葉の理解を拒んでいるのか、その言葉を認識するのに20秒を要した。
用意……しました?
用意……?
用意だと……?
司書は燃料が取り扱いに注意すべき物だと知っていたので、昔から燃料を集めて保管していたのだと言う。
場所は図書館の地下倉庫。
その瞬間に私は雄叫びを上げたくなるような衝動に駆られる。
船の燃料を探す旅はそもそも司書に燃料の事を聞けばすぐにでも終わった。
最短ならば遊園地に行く前の時点て終わっていたのだ。
私の苦労は何だったんだぁあああああああ!!!
燃え上がったやり場のない衝動は直ぐ様燃え尽きて、まるで真っ白な灰になったかの如く私は床に崩れ落ちた。
だが、この旅のおかげで超巨大セルリアンに対してジャングル地方の落とし穴作戦を発案できたので、決して無駄な旅ではなかっただろう。
そう自分に言い聞かせないと自棄になりそうだった。
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