旅は続く
第132話 邂逅
遂に出逢ってしまったと言うべきか……
今、私の目の前にはゴリラのフレンズがいる。
旅の行く先々でゴリラゴリラと言われてが、やっと本物のゴリラと出会うことが出来た。
一体どのような容姿をしているのかと気になっていたところだ。
認めよう。
私とゴリラは似てる。
容姿の特徴を言葉で抜き出して行けば、おそらく似たような単語が並ぶだろう。
敢えて差異を上げれば、私の容姿はゴリラから優しさを削り取ったかのように鋭いらしい。
特に目が異様に鋭いとのこと。
目のことはどうでも良いが、胸も削れてるとか言ったセグロジャッカルには後でお仕置きをしようと思う。
今の一言は私の中の優しさを相当削り取ったぞ。
残念ながらセグロジャッカルには何故私が怒ったか理解できなかったようで、私の怒った顔を見てオオウミガラスの背後に隠れた。
ゴリラは私を見たとき同じゴリラのフレンズがいると感動していたようだが、ゴリラでないと知って少しだけがっかりしている。
もしも、私がゴリラだったらそのまま姉妹にならないかと提案していたとのこと。
そして、そんな私とゴリラの邂逅の裏で図書館の外でも禁断の邂逅があったらしい。
物凄い大騒ぎをしながらニホンオオカミとトラの壮絶なおいかけっこが始まっている。
あまり目立たなかったがトラも異変解決に協力していたフレンズだ。
ジャングル地方は超巨大セルリアンとの決戦の舞台になったので、ジャングル地方のフレンズはほぼ全員が異変解決に関わることになった。
トラの方は口では寄るなと言うが心はスキンシップに飢えているので、その内ニホンオオカミに捕まるだろう。
あくまでトラはスキンシップは嫌だったけどと言う体裁を取り繕って……
難儀な性格だ。
さて、ゴリラの件は置いといて、異変が解決したことによりもう一つ面倒くさい案件が出てきてしまった。
アカギツネに私が人であることがバレてしまったのである。
起きてからじーっと無言で私を見詰めるアカギツネ。
人になりたいと言っていた彼女に嘘を吐いてゴリラと言ってしまったので、なんと言葉を掛けて良いのか分からない。
済まない。
謝るとアカギツネは別に気にしてないと言う。
弟子に先を越されてしまったのは悔しいけど、それで怒るほど器量は狭くないとのこと。
………ん?
何か私とアカギツネの間で致命的なすれ違いが起きていないだろうか?
弟子に先を越されたままじゃ示しが付かないわ!
アタシも早くヒトになるわよ!
そこまで聞いてやっと私は理解した。
どうやらアカギツネは私がゴリラのフレンズからヒトになったと盛大な勘違いをしてしまったらしい。
彼女自身心の何処かではヒトになれないのではないか?と言う疑念を抱いていた為か、私と言う実例(勘違い)を目の当たりにしてむしろやる気に火が点いてしまったようだ。
私がアカギツネの勘違いを訂正する前に燃え盛るやる気の炎が赴くままにアカギツネは図書館を飛び出して行ってしまった。
そんなアカギツネを見てナミチスイコウモリがきっと変なトラブルを持ち込んで来るぞと呟く。
……そうならないことを祈ろう。
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