第126話 前進

 超巨大セルリアンの討伐により撒き散らされたサンドスターがセルリアンの森を怪しく照らす。

 フレンズ達がサンドスターの光を頼りに進んでる最中に、また妙なセルリアンと出会した。


 一見するとトカゲのように見えるが足の数が6本あり、ネコ科の動物のような鋭い犬歯を持つ歯で木のセルリアンの葉を食んでいる。


 それを鹿のような姿をしたセルリアンが木の枝の上を渡って捕まえて食する。


 セルリアンがセルリアンを食べた!?


 決して共食いをする筈のなかったセルリアンの共食いを見て、フレンズ達の間に衝撃が走る。


 ここのセルリアンは見た目通りの生態をしていない。

 肉食の見た目で草食だったり、木に登れない足で木に上ったり……

 フレンズ達はこの森の歪な生態系を見て、まるで色んな生物の特徴をごちゃ混ぜにしているようだと感じた。


 そして、遂にセルリアンの織り成す歪な生態系がフレンズ達に牙を剥く。


 気付いたのは比較的耳の良いフレンズ。


 フレンズ達の歩みに合わせて段々と足音が増えているのに気が付いたのだと言う。


 木陰の方に目を向けるとアリクイと言う動物のようなストロー見たいな口を持つ二足歩行のセルリアンがフレンズ達の歩みに合わせてついてきていた。


 そして一人のフレンズが何かに気が付いたようで乾いた笑いを上げた。


 ニホンオオカミだ。


 彼女は急に振り返って走り出すと最後尾を歩いているフレンズの背後に攻撃を繰り出した。


 パッカーン!


 気配を消してフレンズを背後から襲おうとしていたセルリアンがニホンオオカミの一撃でサンドスターへと還る。


 ちゃんと襲ってくるセルリアンがいて安心したよ。


 襲われて安心と言うのは妙な話だが、周りが見たこともない変なセルリアンばかりなので知ってる行動をするセルリアンを見てほっとしたようだ。


 1体倒されたのを切っ掛けに木陰から同じタイプのセルリアン達がわらわらと集まってくる。


 ニホンオオカミを筆頭にして何人か森林地方に住むフレンズ達がセルリアンの前に立ち塞がった。


 ここは私達に任せて先に行って!

 このセルリアンの狩りの仕方は私が一番知っている狩りの仕方だから!


 ここは彼女達に任せましょう。


 司書達はニホンオオカミ達から背を向けて、セルリアンの森の奥地を目指して駆け出した。


 ここの襲ってくると分かった以上、のんびり歩みを進めるわけにはいかない。

 速やかに元凶を倒して異変を終わらせなければ、セルリアンの森が草原地方だけではなく全ての地方を飲み込んでしまうだろう。


 既に隣接している森林地方やサバンナ地方には影響が出ているかもしれない。


 先を急ぐフレンズ達の前に新たなるセルリアンが現れる。


 次に現れたのは鳥の姿をした大型のセルリアン。

 使い物にならないような小さな手足が付いており、口の形は鳥と言うよりトカゲのようである。

 見ようによってはドラゴンに見えたかもしれない。


 空から強襲に右往左往と逃げ惑う中で猛禽トリオ達を先頭に司書を残して鳥のフレンズ達が飛び上がり、空飛ぶセルリアンと戦い始める。


 ノープロブレム!

 空の事なら私達にお任せ!


 ……信じていますよ。


 こちらを襲ってくるセルリアン達と出会う度に少しずつ仲間を減らしながら、仲間の無事を信じてフレンズ達は前へと進む。

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