第125話 もう一つの異変
かつて、ジャパリパークのセルリアンはサンドスターの他に“かがやき”と言うものを奪うことが出来たのだと言う。
それは生きるための長所や個性、記憶と言った形のないプラスの要素。
女王事件と呼ばれる異変の始まりは大きな“かがやき”を持つ一人の女性からセルリアンが根刮ぎ“かがやき”を奪った事が発端だったらしい。
では、“かがやき”を奪われた女性はどうなったか?
その女性は“かがやき”を奪ったセルリアンが倒されるまで昏睡状態だったようだ。
現状の私もその女性と同じく昏睡状態になっている。
つまり、セルリアンに私は根刮ぎ“かがやき”を奪われてしまったのだ。
異変は1つだけではなかった。
フレンズ型のセルリアンを追っていたアカギツネ達が駆け付けるも、そこにはフレンズ型のセルリアンの姿はなく、倒れた私と懸命に起こそうとするオオウミガラスの姿だけだった。
フレンズ達は再び図書館に集まる。
新たな驚異であるフレンズ型のセルリアンを倒すために、“かがやき”を奪われてしまった私を救うために……
フレンズ型のセルリアンは何処へ消えたのか?
それは数時間もしない内に判明する。
草原地方。
まるで自己主張をするかの如く、遠くからでも分かってしまうくらいの異常事態が発生していた。
オオウミガラスは私の日記帳のページに書き置きを残す。
オオウミガラスは最前線に立てるほど強いフレンズではない。
行くと言い出したオオウミガラスに司書達が反対をしたが、彼女の決意は固く一人でも行くと言って止められそうにない。
わたしが行って、確かめなきゃ!
そう言って、オオウミガラスは司書達の前で出来なかった筈の野生解放をして見せた。
超巨大セルリアンと対峙した経験が野生解放に繋がったのかは定かではない。
少なくとも足手まといにはならないと言う意思表示か。
オオウミガラスの決意を見届けた司書はオオウミガラスとアカギツネ達、まだ余力が残っているフレンズ達を引き連れて草原地方へと向かった。
草原地方へやって来たフレンズ達は目の前の光景を見て皆一様に言葉を失う。
草原地方に草原はなかった。
そこには森林地方と見間違える程の樹木が生えており、その樹木一本一本に植物にある筈のない目が付いている。
そう、目の前に広がっていたのは森林等ではなく、樹木に擬態したセルリアンの群だった。
超巨大セルリアンのような強大な個による驚異ではなく、圧倒的な数による驚異。
セルリアンの群を前にして立ち竦むフレンズ達の中、オオウミガラスは私が渡した御守りを握り締めてセルリアンの群の中へと足を踏み入れる。
………………来ない?
フレンズが近くに来たと言うのにセルリアンはぴくりとも反応せずに、まるで本当の植物のようにその場で動かないままである。
その事実がセルリアンの群の不気味さに拍車を掛ける。
超巨大セルリアンは規格外な相手ではあったが、その行動は通常のセルリアンと大差なかった。
だが、今回は何かが違う。
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