第121話 厄災を越えて
攻撃していたフレンズ達は何の前触れもなく新たに現れた敵に目を向ける。
それは超巨大セルリアンと同じ体色の黒いセルリアン。
何処から現れたのか?
フレンズ達の疑問に答えるように周囲に飛び散っていた超巨大セルリアンの欠片が浮かび上がり、球体となって黒いセルリアンへと変化する。
普通のセルリアンならば飛び散った欠片はそのままサンドスターへ還る。
だが、超巨大セルリアンの欠片はあろうことか新たなセルリアンとして行動を始めた。
有り得ない光景にフレンズ達が呆気に取られた隙に黒いセルリアン達が超巨大セルリアンの上から周囲の蔦を引っ張ってるフレンズ達に向けて駆け出した。
それに気が付いた司書は今度は周囲に沸いた黒いセルリアンを対処する者と超巨大セルリアンを攻撃し続ける者に別れて戦闘を続行するようにと指示して、自身は蔦を引っ張るフレンズを守るべく地上に降りる。
拘束が解かれた瞬間に私達の敗北が決定的なものになる事を超巨大セルリアンが理解したと言うことなのだろう。
幸い、超巨大セルリアンの欠片は本体のような馬鹿げた防御力や再生能力を持ってる訳ではなかった。
だが、その数だけが驚異だった。
攻撃力が不足していて渋々拘束班に回っていたフレンズ達が超巨大セルリアンの欠片を相手に戦い始める。
フレンズ達は懸命に超巨大セルリアンに攻撃を繰り出すが、欠片のセルリアンの対処に人員が割かれた為に再生速度と拮抗する程度の速度でしか削れない。
このままではじり貧でフレンズ達が力尽きてしまう。
だが、最初にじり貧に陥ったのはフレンズではなく、超巨大セルリアンだった。
突如として超巨大セルリアンの身体を再生させ続けていたサンドスター・ローの供給が止まる。
それは超巨大セルリアンに取っては不測の事態だったのだろう。
走って現場に向かっている途中の私にすら聞こえるくらいの大きな地響きのような鳴き声を超巨大セルリアンが発する。
直後に超巨大セルリアンの身体から無数の欠片のセルリアンが放たれた。
攻撃をしていたフレンズ達は弾き出されたような勢いで出てきた欠片のセルリアンに押され、蔦を引っ張ってたフレンズは突然手応えが無くなって勢い余って後ろへ倒れる。
そして、月夜の空に大きな影が飛び上がった。
欠片を放出して一回り身体を小さくした超巨大セルリアンが蔦の拘束を逃れて上に飛び上がったのだ。
しかし、それは超巨大セルリアンに取っては間違った選択だった。
超巨大セルリアンが飛び上がるのと同じく、超巨大セルリアンに向かって3つの流星が落ちる。
それは野生解放をしたタカ、ハクトウワシ、ハヤブサの3名。
超巨大セルリアンの飛び上がる勢いと猛禽トリオの落下の勢いが合わさり、かつてない強力な蹴りが超巨大セルリアンの露出した弱点に当たる!!
超巨大セルリアンの石が砕け散る音が響き渡り、その巨体は地下バイパスの中へと落ちていく。
それと連動するように辺りで暴れていた欠片のセルリアンの動きが止まり、全身が黒色から虹色へと変化し………
ドッッッ!!!!
本体も欠片も盛大な大爆発を引き起こして、サンドスターの大嵐を巻き起こした。
勝ったぁああああああああ!!!
超巨大セルリアンの消滅を見届けたフレンズ達の歓声が響き渡る。
全てが終わった直後に到着した私に蔦引きで頑張っていたオオウミガラスが感極まったのか思いっきり抱き付いてきた。
この時点では誰もが異変は終わりだと思っていた。
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