第120話 総攻撃

 超巨大セルリアンの回りを飛んでいた小さな光が消えて、少し遠くに大きな光が現れる。

 超巨大セルリアンは本能にしたがってその大きな光へ向けて歩き始めた。


 地響きをさせながら歩いてくる超巨大セルリアンに対して、木の影に隠れているフレンズ達の間に緊張が走る。


 おそらく、たった一度きりのチャンス。

 これに失敗したら次はない。


 フレンズ達は静かにチャンスの時を待つ。


 …………!!


 突然、超巨大セルリアンの足元が崩れ落ちる!


 超巨大セルリアンは何とか落下を免れようとするが、崩落に間に合わずに前足二本を外に出したまま下半身が地下に埋まる。


 超巨大セルリアンが落ちたのは老朽化した地下バイパス。

 私の目論み通りに超巨大セルリアンの重量に耐えきれずに崩落したのだ。


 今だぁああああ!!!


 ブラックジャガーの声を皮切りにフレンズ達が一斉に木の影から飛び出した。


 身のこなしの軽いフレンズ達が蔦を持って超巨大セルリアンの身体をぐるぐると回り、超巨大セルリアンの身体を拘束する。


 同時にハンター達を筆頭に強いと評判のフレンズ達が超巨大セルリアンへと攻撃を繰り出した。


 罠に掛かった事に気が付いた超巨大セルリアンが前足を振って迎撃しようとするが、蔦が思いっきり引っ張られて地面へと叩き付けられる。


 蔦の先端には戦闘が苦手なフレンズ達が集まって力の限り引っ張り、超巨大セルリアンが動けないように拘束する。

 セルリアンが動く度にミチミチと蔦の繊維が悲鳴を上げてるが、そんなものを気にしている余裕はない。


 ハンター達が狙うのは超巨大セルリアンの頭頂部にある不自然に膨らんだ部分。

 その中に弱点となる石が入っている。


 超巨大セルリアンの身体を駆け上がり、最初の一撃を入れたのは地上最速のチーターだった。


 ギィィイン!


 まるで、金属を引っ掻いたような音が響き渡り、超巨大セルリアンの表面にうっすらと白い線が付く。

 巨大化の影響かハンター達が戦った時よりも固くなっている。

 どうやらチーターでは攻撃力不足だったようだ。


 その様子をを見た司書が上空から地上に向けて指示を飛ばす。


 生半可な攻撃では傷すら付きません!

 出し惜しみは無しでございます!

 全員、野生解放をしてください!


 野生解放?

 その単語を聞いたときには首を傾げたものだ。

 何せ、作戦を練る時まで聞いたこともない単語だったのだから。


 野生解放とは、己の中の野生を解放して一時的にフレンズの能力を上げる技らしい。

 ただし、野生解放を使用出来るフレンズは多くない上に使用すると大量のサンドスターを消費するため、長時間の使用は出来ない。


 その為、ハンター達もここぞと言う場面でしか野生解放を使用しない。


 司書の号令でフレンズ達が一斉に野生解放をする。


 瞳に野生の輝きを帯びさせながら、超巨大セルリアンに向かって攻撃を繰り出した。

 サンドスター・ローの黒い粒子とフレンズ達が放出している虹色の粒子が入り交じる中、野生解放をしたフレンズ達が超巨大セルリアンの表皮を再生速度を上回る速度で削り取っていく。


 このまま押し通せるか!?

 そう思った矢先に攻撃をしていたフレンズの一人が超巨大セルリアンの上から弾き飛ばされて転げ落ちる。


 規格外のセルリアンはフレンズ達に素直にやられてくれるほど、甘い相手ではなかった。

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