第122話 海底での戦い
おそらく、私達が地上で超巨大セルリアンとの決戦の直前くらいの時刻。
海底の聖域と呼ばれる場所を守護していたイッカクは海上で目を覚ました。
突然、聖域で爆発が起こり、聖域を守護していたイッカクはその衝撃を体に浴びて気絶していたようだ。
気が付いた時点ではかなり沖の方まで流されていたらしい。
イッカクは様子を確認するために聖域へと直行する。
聖域のある暗い海底。
そこには聖域にあってはならないものが居座っていた。
あまりにも巨大で異様な影。
まるで火口に蓋をするかのように全身黒色の巨大なセルリアンが鎮座している。
その表皮はまるで岩のように硬質化し、動く度にボロボロと表皮が剥がれていく。
だが、その姿は一向に小さくなる様子はない。
まるで、ヘビが脱皮をするように内側から次々と生成されているのかもしれない。
水に弱い超巨大セルリアンが海中で活動をすることなど不可能な筈なのだが、サンドスター・ローを直接火口から取り込むことにより、新陳代謝を加速して完全な石化を防いでいるようだ。
海底の超巨大セルリアンの形状は巨大な球体にアンバランスなくらい巨大な角が付いており、その角の先端から海面に向かって黒い石柱を定期的に射出している。
役割としては砲台のような存在なのかもしれない。
こいつがスカイレースの会場に向けてサンドスター・ロー入りの石柱を供給していた犯人のようだ。
海底と地上でワンセットの超巨大セルリアン。
仮に海底の超巨大セルリアンを超巨大セルリアンを乙型、地上の超巨大セルリアンを甲型とする。
例えどんなに強大な相手であろうと聖域を守護するフレンズの一人としてイッカクがやることは1つ。
セルリアンを排除して聖域を守る。
イッカクは自慢の槍を構えて超巨大セルリアン乙型へと突撃する。
もうスピードで接近するイッカクの姿に気が付いた超巨大セルリアン乙型は身体をボロボロと崩しながら主砲の照準を合わせる。
ボッ!!
一射毎に海水を激しく揺さぶり、乱流を巻き起こす。
イッカクはその海流の微妙な変化を感じとり、黒い石柱のような砲弾に巻き込まれないように器用に避けて超巨大セルリアン乙型へと接近する。
海中と言う環境が苦手な超巨大セルリアン乙型に対して、海中こそが最も得意なイッカク。
凄まじい身体の大きさの差はあれど、圧倒的に有利な環境がイッカクと超巨大セルリアンの実力の差を縮める。
イッカクは黒い石柱を掻い潜って、遂に黒いセルリアン辿り着き、その巨体に向けて槍を突き立てた。
だが、無情にもその槍は超巨大セルリアン乙型の硬質化した表皮に阻まれて弾かれる。
機動力を大幅に奪われ、火山からの直接のサンドスター・ローの供給がなければ即座に物言わぬ岩へ変わる超巨大セルリアン乙型に取って圧倒的に不利な海中の中。
だが、防御に関しては表皮の硬質化により、猛者と呼ばれるフレンズの攻撃すら通さぬ強固な装甲へ変わっていた。
イッカクを振り払おうと超巨大セルリアンは身を捩り、巨大な砲身を振り回して周囲の海底の岩を破壊しながら何とかイッカクに攻撃を当てようとしてくる。
超巨大セルリアン乙型の身体に取り付きながらも攻め手がないイッカクは何とか状況を打開しようと周囲を観察する。
硬いのならば柔らかいところを突く。
きっと弱点がある筈。
豊富なセルリアンとの戦闘経験からイッカクは超巨大セルリアン乙型の弱点を探しだす。
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