第117話 決起

 同姓同名の別人の可能性はある。

 だが、祖母がジャパリパークに居たと言う事実がある以上同一人物と見て良いだろう。


 祖母がジャパリパークに居た時代からコイちゃんが居たとするなら、コイちゃんはどれだけの歳月を過ごしたのだろうか。


 フレンズの……少女の姿のまま……


 ……今はそれを追及するべき時ではない。


 セルリアンの情報を整理しよう。

 ・セルリアンには弱点となる石がある。

 ・光に引き寄せられる。

 ・フレンズを補食してサンドスターを得る。


 これに加えて超巨大セルリアンは

 ・水に弱い。

 ・再生能力がある。


 どうしようもない敵に対してフレンズ達が打てる手段の一つにセルリアンが餓死するまで放置すると言う手段がある。

 しかし、今回に限って言えばそれは通用しないだろう。

 あの超巨大セルリアンは外部からサンドスター・ローと呼ばれる物質を吸収していた。

 あれもサンドスターだとするのならば、放置するだけ危険性が増すだけだ。


 海に突き落とすと言う方法も考えたが、そもそもあのセルリアンが自身の弱点となる大量の水で満たされている海に近付くとは思えない。

 森林地方の川では幅が足りない。


 そうなると、取れる手段は限られてくる。


 その答えは単純にして難題。

 相手の再生速度を上回る速度でダメージを与えれば良い。

 だが、最後に見たあの大きさでは空を飛べるフレンズでないと攻撃は難しい。

 それに学習能力の高いあのセルリアンが素直にもう一度ハクトウワシの急降下蹴りを喰らってはくれないだろう。


 せめて、相手の身動きを止める方法があれば……


 そうか。


 私は地図を広げて場所の確認をする。

 超巨大セルリアンをこの地点に誘導できれば身動きを封じることが可能かもしれない。


 私はその事を司書とブラックジャガーに伝える。


 御守りが無いことを悔やんでも仕方がない。

 今あるもので出来ることをするしかないのだ。


 私は周囲を見渡して図書館内にいる全てのフレンズに対して言う。


 私は故郷を失い途方に暮れる顔を幾度となく見てきた。

 このままではジャパリパークは超巨大セルリアンに蹂躙されて、フレンズ達が住む場所を失ってしまう。

 私はそんなフレンズ達は見たくない。

 超巨大セルリアンは確かに強大な力を持っている。

 誰も勝てないのかもしれない。


 だが、私達は一人じゃない。

 一人で勝てなくても皆の力を合わせれば勝てるかもしれない。


 危険な事に巻き込んでしまうのは重々承知だ。

 無理にとは言わない。

 でも、ジャパリパークの為に……皆の為に力を貸して欲しい!


 静まり返る図書館内。


 ダメか……


 そう思った矢先に誰かの声が響き渡る。


 今こそ、群の力を見せる時だ!!


 その声を皮切りにフレンズ達が次々と作戦に協力する発言が飛び出る。


 超巨大セルリアンとの決戦の舞台は日没後のジャングル地方。

 それまでの間に超巨大セルリアンを迎え撃つ準備を私達は開始した。

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