第114話 形勢不利
だが、ブラックジャガーの渾身の一撃は黒いセルリアンに対して有効打にはならなかった。
踏み込みが浅かったのか、それとも避けられたのか。
ブラックジャガーの一撃は黒いセルリアンの表皮をなぞるだけになる。
完全に決まったと思っていたのかブラックジャガーの驚いた顔をしている。
後ろ足二本だけで踏ん張る黒いセルリアンに対して、アメリカバイソンが槍に力を込めて前足の一本を上に弾き飛ばす。
体勢を崩した!
いや、違う!
黒いセルリアンは己の驚異的な筋力を持って無理矢理弾き飛ばされた腕を振り下ろす。
その凄まじい威力を察知したのかハンター達は一斉に距離をとる。
岩すらも砕き飛び散らせて黒いセルリアンの腕が地面に埋没する。
状況的にはハンター達の方がやや有利か?
だが、黒の混じったセルリアンは通常のセルリアンよりも凶暴であると言うデータがあった。
それならば、全身黒色のセルリアンの戦闘能力はどれ程のものなのか?
一見すれば中型のセルリアン。
なおもハンター達と渡り合っているのは黒色故か?
アメリカバイソンがもう一度とばかりに槍を構えて黒いセルリアンに突撃する。
先程と同じようにセルリアンが前足でアメリカバイソンの突撃を受け止める。
かのように見えた。
黒いセルリアンは足についている四本の爪を閉じて槍を絡めとり、アメリカバイソンの突撃の力すらも利用して後方へと投げ飛ばした。
すかさずコヨーテが黒いセルリアンを足止めしようと前に躍り出て攻撃を加えながら、黒いセルリアンの攻撃をいなす。
単調に思えた黒いセルリアンの攻撃は突如として加速し、コヨーテは突然加速した攻撃に対応しきれずに直撃してしまう。
まるでバットに打たれたボールのように吹き飛んだコヨーテは岩に激突する前にブラックジャガーに受け止められる。
だが、完全に意識を失っており、戦線復帰は出来そうにない。
もしや、ハンター達の動きが学習されてるのか!?
その時、ここから直ぐに逃げろと言う声が響き渡る。
この声はコイちゃんか。
声の方を向くと血相を変えたコイちゃんの表情が見えた。
コイちゃんの呼び声で黒いセルリアンの危険性を察知したフレンズ達が一斉に逃げ出し、司書が図書館へ避難を促す。
フレンズ達の動きに気付いたのか、黒いセルリアンが逃げ出すフレンズを見て追い掛けようと
私も漸く放心状態から回復しつつあるオオウミガラスを引っ張って避難する。
走りながら振り替えるとアメリカバイソンが果敢に黒いセルリアンに立ち向かい、そして弾き飛ばされる姿が見えた。
ブラックジャガーも応戦するが、黒いセルリアンに警戒されてるのか中々一撃を入れさせてもらえない。
もしかしたら、ブラックジャガー達は他のフレンズ達が避難するまで囮になるつもりなのかもしれない。
……それで良いのか?
ハンター達は誰が助けてくれる?
ふと、そんな疑問が頭に浮かんだ直後に私は踵を反して逆方向へと走り出した。
直後に黒いセルリアンがハンター達連携の隙を突いて包囲を抜け、逃げるフレンズ達へ差し迫る。
どうやら、コヨーテが抜けてしまった穴は中々に大きかったらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます