第111話 スカイレース開催
位置について!!
よーい、ドン!!
そんな掛け声があったかどうか定かではないが、一斉にフレンズ達が空へ飛び出した。
まずは先頭に躍り出たのはハヤブサ、それ続けとばかりに鳥のフレンズ達、それより一歩遅れて人力飛行機に乗ったフレンズ達が後に続く。
そして、その最後尾……
スタート直後だと言うのに失速して墜落したフレンズがいた。
トナカイだ。
トナカイは参加するまでに体力を使い果たしてしまったようだ。
憐れにもトナカイは名を上げることが出来ずに脱落となってしまった。
脱落したフレンズは救護班が回収しているようで、墜落したトナカイの回りにフレンズ達が集まっている。
救護班の中には猛禽トリオと縁の深いマーコールもいた。
姿が見えないと思っていたらスカイレースの運営スタッフ側に回っていたようだ。
ん?
なんだあのフレンズ達の周囲をうろうろしている緑色の物体は?
それも気になるが今はレースを見ることに集中しよう。
トップは以前としてハヤブサのままだが、後ろの方では順位変動が起こり始めている。
鳥のフレンズ達が圧倒的に有利と思われたこのスカイレースだが、私が予想しているよりも遥かに差は少なかった。
初速こそ鳥のフレンズ達が速かったが、一度速度が乗り始めると人力飛行機の方が速くなる。
だが、人力飛行機は急カーブが苦手なようで、曲がる時は大回りになってしまう。
この点は小回りの効く鳥のフレンズが有利か。
これは予想以上に白熱したレースになりそうだ。
トップのハヤブサの姿を追っていると、ハヤブサが突然方向転換を行ってコースを逆走し始めた。
どうした?
どうやらハヤブサはトップを独走していたが、後ろばかり気にして前方の注意は散漫になってしまっていたようだ。
その結果、ハヤブサは致命的なミスを犯してしまった。
本来、チェックポイントは旗と旗の間を抜けなければならないのだが、ハヤブサは間ではなく外を通ってしまった。
つまり、ハヤブサはトップを独走していたように見えたが、実は気が付かない内にビリになってしまったようだ。
まだ、一つ目のチェックポイントなので逆転の芽はあると思うが、これはかなり厳しい状況。
さて、ハヤブサの代わりにトップになったのは人力飛行機に乗ったフレンズ。
知り合いではないので何のフレンズかは分からないが、おそらくはイヌ科のフレンズである。
知り合いのアメリカバイソンは大体真ん中くらいの順位であり、いまいちパッとしない。
様子を見る限り曲がるのが下手なので、良く人力飛行機の速度を落としてしまってるようだ。
主催者であり参加者でもある猛禽トリオのタカとハクトウワシはトップ陣から少し離れた位置を飛んでいる。
表情から余裕が伺える辺り、この二人は体力を温存しているのかもしれない。
だとするなら、これは終盤で大きく順位が変動する可能性が高い。
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