第112話 最速
動いた!!
中盤でやや膠着状態であったレースの状況に変化が訪れる。
六つ目の旗を通過してハクトウワシとタカがトップを狙うべく速度を上げ始める。
だが、ハクトウワシとタカの進路を遮るように人力飛行機が移動する。
数
これはタイムを競うレースではなく、一着を決める為のレースだ。
純粋な速さだけで勝負が決まるわけではない。
相手を抜くタイミング、追い越されないための位置取り、ペースの配分……
様々な要素が絡み合うこの場に置いて必勝の方法はない。
無理に追い越そうとすれば最短距離から外れてしまう。
最初の位置取りを誤ったか。
その時、ハクトウワシ達のさらに背後で動きがあった。
トップ陣から離れた中位くらいの位置で急速に速度を上げる機体が現れる。
他の倍以上に加速した機体は次々と順位を上げてトップに差し迫る。
しかし、トップ層は一着争いで混沌としており抜けるのは困難を極めるだろう。
そう思われた直後にその機体はグッと高度を下げて地表スレスレを走るような低い場所を飛ぶ。
高度を上げる分には速度は落ちるが、高度を下げるなら重力を利用してさらに加速できる。
後ろから追い掛けてきたからこそ抜け道が見えていたのだろう。
すぐ後ろで機会を伺っていたハクトウワシ達が下を抜けられた事に気が付いて慌ててその後を追い掛ける。
だが、機体の速度が尋常でない程に速く、全く追い付けない。
あの機体を操作しているフレンズは何者だ?
容姿はは大きなネコ科の特徴を残しており、黒い斑点柄のタイツとスカートを穿いている。
もしや、あれは地上最速と言われている動物のチーターでは無いだろうか?
チーターは私でも知ってる有名な動物だ。
地上最速の脚力で回されるプロペラが驚異的な加速を産み出している。
その時、周囲からおお!っと歓声が上がる。
どうした?
何が起きた?
オオウミガラスが上を見てと指を差す。
オオウミガラスが指し示す方向に双眼鏡を向けると遥か上空から恐ろしい速度で急降下しているフレンズがいた。
それは序盤のミスで最下位に落ちた筈のハヤブサ。
チーターの人力飛行機以上の速度でゴール目指して急降下してくる。
そして、遂にトップに躍り出たチーター。
それに追い付かんとするハヤブサ。
どっちだ!?
どっちが勝つんだ!?
チーターか?
ハヤブサか?
いや、このまま行けばチーターが逃げ切れる。
ゴールは目前。
ゴールラインでチーターとハヤブサが交差する。
勝者は……ハヤブサだ!!
私には分からなかったが、回りのフレンズの会話を聞く限りでは最後の最後にチーターが失速をしてしまったらしい。
決してチーターが勝ちを譲った訳ではなく、どうやらゴールの直前で力尽きたらしい。
その話を裏付けるようにチーターの人力飛行機はゴールを過ぎてから墜落した。
機体は完全に大破してしまっているが、フレンズは人に比べて頑丈なので大して問題はないだろう。
ハヤブサ達に続いて次々とフレンズ達がゴールに辿り着く。
これから授賞式だ。
さて、ハヤブサ達の晴れ姿を見るために私達も早速授賞式の会場に向かうとしよう。
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