第104話 雨上がり
地方の境界を越えてサバンナ地方へと足を踏み入れる。
踏み入れた筈だ。
私は手持ちのパンフレット地図と目の前に広がる光景を見比べる。
今度はコンパスで方角を確認し、歩いてきた道が合っているかを確認する。
……ここがサバンナか。
サバンナと言えば枯れ掛かった茶色い草に地面を覆われ、疎らに高い木の生えた荒涼とした景色の土地だと思っていたのだが、目の前に広がるサバンナは青々とした草に覆われており、木も生き生きと葉を繁らせている。
オオウミガラスにここがサバンナ地方で合ってるか聞くが、オオウミガラスはサバンナ地方に行ったことが無いらしく、ここが本当にサバンナ地方かどうかは分からないらしい。
でも、方角はあってるし、ここがサバンナ地方じゃないの?とのこと。
確かに生えてる木の形がサバンナっぽい形をしているが……
まぁ、例え間違って草原地方に出てしまっても北へ向かえばサバンナ地方へ行ける筈なので、このまま北北西に向けて出発をしよう。
森林地方から継続して雨模様の天気。
そう言えば、赤道に近い地域では四季は存在せず、雨季と乾期で別れるところがあると聞いたことがある。
写真や映像でしか見たことがないサバンナも雨季と乾期で別れてるのかもしれない。
つまり、現在のサバンナは雨季なのだろう。
しばらく歩いているといつの間にか雨も上がり、白い雲の合間から澄みきった青が顔を覗かせる。
水滴を付けた草がキラキラと輝き、上を見上げれば見事な虹が空に架かっていた。
是非とも写真に納めたくなるような絶景に私達は暫し足を止めて眺める。
世界にはこのような絶景が見られる場所は後どのくらい残っているのだろうか?
オオウミガラスがどうして雨が上がると虹が出るんだろうねと言う。
虹は日の光が雨粒で屈折した際に波長の違う光がバラけて、遠目から見ると七色の橋が架かっているように見えると言う原理だった筈だ。
フレンズにそう言ったところで何処まで理解してくれるものか……
きっと虹は雨上がりの好きな気紛れな奴なのだろう。
とりあえず、そう言うことにした。
今回は特にフレンズと会うこともなく夜を迎えることになった。
現在、ジャパリまんを齧りつつ日記を書いているが、気が付くといつの間にか日記が100ページを越えていた。
ここに来てから日記を書き始めたのだが、良くここまで書いたものだ。
それだけ書くことも多かったとも言える。
このサバンナ地方は私が訪れる最後の地方となる。
もしも、ここで船の燃料を発見できなければ、別の方法を探す必要が出てくる。
筏を作成して隣のエリアまで漕いで行き、そこからジャパリパークの中心部であるパークセントラルを目指すことも考えなければならない。
何故、パークセントラルを目指すのかと言えば、そこが一番施設が残っているので何かしらジャパリパークを出る手段が残っているだろうと考えているからだ。
どうして、私はここから出ることばかり考えているのだろうか……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます