第94話 情報検索

 流石にあの滝のような雨の中を進もうと言う気は起きなかった。


 このスコールは今の時期だとほぼ毎日1回の高頻度で降るらしい。

 つまり、降らない日の方が珍しいのだそうだ。


 なるほど……

 港までの旅で司書がジャングル地方を抜けるルートを勧めなかった理由がこれか。


 このジャングル地方特有の厄介なスコールについてだが、意外と対策は簡単らしい。

 曰く、スコールには法則性があるようだ。


 第一にスコールは日中の午後、凡そ15時から18時の間に降り、凡そ30分から長くて2時間ほど降り続けるらしい。


 第二に雨の前には強い風が吹く。

 最もこの強い風が吹く頃には既に手遅れな事が多いので、あまり当てにはならないかもしれないらしい。


 特に降る時間が決まっている事を知れたのはありがたい。


 午前中の内に探索を行い、午後15時を目安にテントを張ればスコールを凌ぐ事が出来そうだ。


 私はスコールで動けない間にパソコンで他に何か有益な情報がないか確認する。

 動物のデータの他にセルリアンについてのデータが残されていた。


 データには以前に司書達と共に見た微生物のような姿をしたセルリアンの画像が残っており、他にも各種類の特徴が記載されている。

 それに付属してある文章ファイルにはセルリアンが現れた場合は現地のアニマルガール(フレンズ)と共に対処に当たるようにと書かれている。


 昔のセルリアンと現在のセルリアンではその姿は大きく異なっているのは、セルリアンもフレンズと同様に世代交代をしたと言う事なのだろう。


 セルリアン全般の特徴については以前にフレンズ達から聞いたものが多かったが、いくつか私の知らない記述を発見した。


 セルリアンは基本的にカラフルな色合いをしているが、稀に身体に黒色が混じった個体がいる。

 その黒色混じりのセルリアンは他のセルリアンと比較して戦闘能力が高く、並みのフレンズでは手も足も出ない。

 その上、攻撃性も高いのでフレンズや人を見掛けると積極的に襲ってくるようだ。


 黒色混じりでなくても積極的に襲ってくるような気はするが……


 他にはセルリアンが何体か合体して大型のセルリアンになると言う記述も発見できた。

 大型のセルリアンは普通のセルリアンと比較して行動が複雑化しており、ただ単に大きくなったと言うわけではないようだ。

 以前に私達を襲った大型セルリアンも複数のセルリアンが合体したものなのかもしれない。


 しかし、セルリアンがフレンズを襲うのはサンドスターを狙っての事だと理解できるが、何故普通の獣である人も積極的に襲うのだろうか?


 フレンズと姿が似ているからか?

 その答えは出ない。


 その後、スコールは一時間も降り続けた。

 そのせいで日が大分傾いてきてしまっているから、本日の探索はここまでにしよう。

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