第89話 騒がしい朝

 煩い!!


 太陽よりも早く起きるフレンズがテントの前で騒ぐせいで目が覚めてしまった。

 普段目を覚ますより一時間早いだけで二度寝する時間もない。


 テントの外に居たのは全身真っ赤な鳥のフレンズ。

 多種多様な生物のいるジャングルに相応しい派手な色をしたフレンズだ。


 オイッ!オイッ!なんだコレ!


 と言いながら身体をゆらゆら腕をぱたぱたと動きも騒がしい。


 なんだ貴女は?


 彼女の名前はコンゴウインコ。

 ジャングル特有の派手な色をした鳥のフレンズ。

 昨日の夜は眠たいのもあって、夜行性のフレンズで誰が居たかは覚えていない。


 せっかくなのでこのコンゴウインコにヘリの場所を案内してもらおう。


 知らなーい!


 想像通りの返答をありがとう。

 何となくコンゴウインコからヘリの場所を聞けない予感はしていたが、念のため聞いてみただけだ。


 さて、時間が惜しいわけではないが、適当に石を投げればフレンズに当たるくらい人口密度が高いと評判のジャングル地方だ。

 探せばヘリの場所を知っているフレンズがすぐに見付かるだろう。


 見付からなかった。


 フレンズ自体は直ぐに見付けることは出来たがヘリの情報を持っているフレンズが居なかったのだ。


 真っ白で一際派手で綺麗な外見のシロクジャク。

 見た目の綺麗さと心の綺麗さが比例するのか、一際親身になって相談に乗ってくれたが、結局ヘリの発見には至らなかった。

 彼女の悩みはより美しくなる為の手入れの方法。

 今でも十分綺麗だと思うのだが、彼女はより一層の美しさを求めているようだ。

 まぁ、自然のものだと手入れの方法も自ずと限界が訪れるのだろう。


 だが、何故私に相談した?


 美しさに敏感なシロクジャクはオオウミガラスの髪が綺麗な事に気が付いたらしく、その理由を知りたかったらしい。

 そう言えば、私がオオウミガラスの髪を櫛で解かしていたりしたか。

 髪が綺麗な理由をオオウミガラスでなく私に聞いたのは野生の勘故か……

 シロクジャクに櫛を渡して髪の解かし方を教える。


 いつの間にか相談者の立場が逆転しているのは何故なのだろうか?


 あと、お湯が苦手で無いのならばツンドラ地方の温泉もオススメする。

 夏場はツンドラ地方の雪も溶けるらしいので、行こうと思えば行けるだろう。



 次は外見だけなら人と区別が付かないのではないかと思われるナマケモノ。

 始めに見付けた際に私は彼女を人だと思い込んで騒いでしまい酷く驚かせてしまった。

 一日の大半を木の上でじっとして過ごすナマケモノはもちろんヘリの事など知らない。


 目立った耳も尻尾もない霊長類のフレンズである彼女だからこそ、ここまで人に酷似した姿となったのだろう。

 そうなるとゴリラのフレンズも一見すると人と見分けが付かないのかもしれない。


 私がナマケモノではなくゴリラと勘違いされたと言うとこは、それだけ私がゴリラに似ていると言うことなのだろう。


 ……字面だけ見てると全力で否定したくなる。


 ゴリラが私に似ていると言うことにしよう。


 ……どちらも対して変わらないか。

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