密林の中に隠されしもの

第88話 密林へ

 雨は上がったが相変わらず空は白い雲に覆われている。

 あまり、良い旅立ち日和とは言い難いが、雨が降らない内にある程度歩みを進めようと思い港を旅立った。

 相変わらず体調だけは好調だ。


 今回の旅は長くなる。

 そして、今回の旅でこのエリアの全ての地方を回る事になるだろう。


 旅立った私達はこれで三度目になる遊園地近くの道路を通る。

 通る度に寂れていく製作者曰くネコであるクマの木彫り達に見送られながら、私達はジャングル地方へ向かう。

 前回の時もそうだが、今回もアカギツネは近くに居ないらしい。

 今頃何をしているのだろうか?


 ジャングル地方と言えば、前回のツンドラ地方へ向かう途中に出会ったヒョウの事を思い出す。

 初対面で私を偽ゴリラ扱いをした失礼なフレンズだ。

 だが、裏を返せばそれだけゴリラのフレンズに似ていると言うことでもある。

 ジャングル地方に縄張りがあるようなので、是非とも一度会ってみたいものだ。


 それと共に連鎖的に思い出したのだが、スカイレースはどうなっているのだろうか?

 ジャングル地方に噂が広まっていると言うことは確実だが、人力飛行機がどうなっているかも気になる。


 あれ以来あの猛禽類トリオとは顔を会わせていないが、一度関わってしまった以上はどうしても気になってしまう。

 サバンナ地方の帰りに様子を見に寄ってみるべきだろうか?


 まぁ、それは帰り道で考えることにしよう。


 今回訪れるジャングル地方は私の怪しい知識でも相当数の動物が暮らしていると言うことは分かっている。

 ならば、そこに暮らしているフレンズもかなりの人数になるだろう。


 ジャングル地方での目的はヘリの発見。


 私としては原型がほぼ残っていることを期待したいが、高温多湿と言う機械に取って最悪な環境なため、錆びだらけで使い物にならないことも考えられる。

 むしろ、その可能性が高い。

 そして、ヘリが無事でも私はヘリの操作なんてとても出来ない。


 私の目的はバスの発見。

 そして、バスから船に燃料を補給することである。


 しばらく歩いていると非常に分かりやすいジャングル地方との境目が見えてくる。

 道路はそのままジャングル地方の中へと続いているが、ジャングル地方に入ると既に木の根によって道路が侵食され始めている。


 自然は逞しい。


 ジャングル地方に入ったところで、今日の旅はここまでにしておこう。


 私とオオウミガラスで木々を利用してテントを建てる。

 何度も私と旅をしてきたおかげで、オオウミガラスもテントの建て方等が分かってきたらしい。

 後は火が使えれば完璧なのだが、火を克服するのは今のところ無理そうだ。


 昼間もそうだったが、夜になっても動物の声が途切れない。

 砂漠地方やツンドラ地方は昼間も静かな場合も多かったが、ここはやはり生命が溢れてるのだろう。


 時折、テントの外からコレ何だろう?と言う囁き声が聞こえる。

 夜行性のフレンズ達が動き出したようだ。


 私はテントから顔を出して、テントを取り囲んでいるフレンズ達に頼み込む。


 寝てるから静かにしてくれないだろうか?


 ジャングル地方は昼も夜も騒がしい。

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