第86話 異常行動
幸いセルリアンの動きが遅いので、私達は建物の中に隠れる事に成功した。
セルリアンから中を見ても見えない位置に隠れて息を殺す。
段々とセルリアンが身体を引き摺りながらこちらへ近付いてくる音が大きくなって来る。
私達はただセルリアンが通り過ぎるのを願う他なかった。
1時間くらい過ぎただろうか?
ふと、建物の外からセルリアンの移動する音が遠くなっている。
私は様子見の為に顔を出したがセルリアンの姿は近くにはなく、遠くで列を成して移動する様子が見える。
どうやら危機は去ったようだ。
オオウミガラスによるとあれは海に良く居るタイプのセルリアンらしい。
つまり、泳ぎに特化したタイプのようだ。
ただ、泳ぎに特化した代償か海のセルリアンは決して陸に上がって来ようとはしなかった。
今までは……
オオウミガラスの話を裏付けるかのように、セルリアンの通った後がサンドスターによってキラキラしている。
これはセルリアンが自身の身体を崩壊させながら移動した証拠だろう。
現に今も移動している個体の中で、動けなくなった個体がサンドスターに還る様子も見せている。
あの集団もそう遠くない内に果ててしまうだろう。
一度、セルリアンの性質を整理して見ようと思う。
フレンズを襲う。
強い光に対して惹かれる。
弱点があり、そこを破壊されると消滅する。
これは実際に私が目にして確認した事項だ。
次はオオウミガラスより寄せられたセルリアンの情報になる。
縄張りを徘徊する。
フレンズを食べたセルリアンは姿形が変化する場合がある。
セルリアンは基本的に生まれた場所から遠くへ移動することはないらしい。
これは平原の大型セルリアンでも確認できた性質だ。
飢餓状態にも関わらずあの大型セルリアンはあの場から遠くへ移動することはなかった。
次にセルリアンの姿形が変化すると言う情報は初めて聞いた。
フレンズを食べたセルリアンと言うのは顎が存在していたりと、より生物的なフォルムになっているそうだ。
これはフレンズの……いや、動物の特徴を取り込んだと言うことなのだろうか?
もしも、セルリアンに食べられた際は助けることは可能なのだろうか?
オオウミガラスの回答は早ければ助けられるけど、遅いとフレンズでは無くなってしまうのだそうだ。
フレンズでは無くなる?
セルリアンに食べられた喋ったり出来なくなり、フレンズの事が分からなくなるらしい。
つまりは獣の姿に戻ってしまうらしい。
死ぬ訳ではないが、全ての記憶を失うと言うことはフレンズとしての死を意味するので、やはりフレンズ達にとってはセルリアンは驚異のままである。
だが、逆に考えてみればフレンズではない私が食べられても、私自身は特に影響が無いと言うことでは無いだろうか?
セルリアンにしてみれば石ころを飲み込んだに等しいだろう。
これからは私が囮になればずっとセルリアン退治が楽になると思うが……
口に出して言うとオオウミガラスに正気を疑われてしまった。
まぁ、確かに言われてみればセルリアンの攻撃による骨折とかも考えられるし、積極的に囮になるのはやめた方が良いか。
それと未だにオオウミガラスが私の事をフレンズと思い込んでいる節が見受けられた。
私がフレンズではないことを忘れてたそうだ。
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