第85話 海からの侵略者
本日の天気は雨。
昨日も午後から雲が出てきていたのでそろそろ降るのではないかと思っていたが、予想通りとなった。
私がジャパリパークへ漂着して26日目。
季節で言えば日本列島に梅雨前線が掛かる頃だ。
しかし、このジャパリパークに置いては梅雨前線はあまり関係無いのかもしれない。
砂漠地方やツンドラ地方がある方の空を見ると雨雲がそこだけを避けているように掛かっていなかった。
そう考えると寮や遊園地のあるこの地域はサンドスターによる気候変化を受けていない可能性が高い。
いや、気候変化がないと言うサンドスターの設定が反映されているのか?
これも研究資料を見なければ答えは出そうもない。
雨の日は部屋などでゆっくりとしたいが、これからジャングルを旅するなら雨は避けて通れない。
熱帯雨林と言うくらいなのだから、時期に左右されるとは言え雨が非常に多い地域なのは間違いない。
今後は雨対策も必要になる。
鬱蒼としたジャングル内で雨に降られた場合は木々が邪魔で傘は差せないので、基本的にレインコートを着ての行動になるだろう。
私とオオウミガラスはジャングル地方へ向かうための準備をするためにショッピングエリアに来た。
今回の目的はレインコート。
近所の店に行って帰って来るだけの簡単な事の筈なのに、今日に限って言えば非常に困難だ。
何故ならショッピングエリアでセルリアンが蠢いているからだ。
大きさで言えば私と同じくらいの中型サイズのセルリアン。
積極的に戦闘をしたい訳ではないが、港の安全を確保したいならここで潰した方が良いだろう。
私とオオウミガラスはセルリアンを倒すために雨の降る中少しずつセルリアンへ接近する。
弱点の石は背後に付いている。
私は手にモリを持って静かにセルリアンへ接近する。
……今だ!
射程圏内に入った瞬間にモリをセルリアンの弱点に向けて思いっきり突き出した。
硬質な音を立ててセルリアンの石にヒビを入れてモリが弾かれる。
浅かったか。
だが、これも私の想定内。
セルリアンが攻撃されたことに気が付き私の方へ振り替える。
その隙にセルリアンを挟んで私の反対側に回り込んでいたオオウミガラスが建物の影から飛び出し、セルリアンの弱点にチョップを繰り出してトドメを刺した。
セルリアンが居る限り、ジャパリパークに本当の意味で安全な場所は存在しないか。
セルリアンのブロックがサンドスターへ還るの見届けて、私は危機が去ったことに安堵の息を漏らす。
しかし、それは束の間の事だった。
セルリアンを倒して喜んでいたオオウミガラスは突然表情を凍り付かせる。
ただ事でないと感じた私は素早くオオウミガラスの視線の先にあ私の背後を振り返った。
それはセルリアンの群れだった。
大小様々なセルリアンが海から港へ上がってきている。
その何れもが陸上に適していないのが見てとれるくらい緩慢な動作で、それがまるで地獄から這い出してくる亡者を連想させた。
私とオオウミガラスは逃げ出した。
これは私達の手に終えない。
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