日記外その18 勘違いとゴリラ


「さてはアンタは弟子1号の偽者ね!」

「は?」


 ゴリラは戸惑った。

 いきなり現れたアカギツネと言うフレンズがむむむと自分の事を睨んだと思ったら、いきなり偽物呼ばわりしてくる。


「お、お前達何なんだよ」

「時間が惜しいわ。この際、本物でも偽物でもどっちでも良いから付いて来なさい!」

「聞いてねぇし……オレは別に縄張りから出る気ねぇから」


 ゴリラは縄張りに引き込もって中々出てこない事で有名なフレンズである。

 単にゴリラは繊細で臆病な性格をしている為だ。


「アカギツネ、とりあえず諦めた方が良いと思うぞ」


 ナミチスイコウモリとしてはアカギツネのようなトラブルメーカーが増えなくてほっとしている。


「ナミチーもアンタも甘い!今もこうしている間にもジャパリパークには危機が迫っているのよ!」

「ジャパリパークの……危機……だと」


 ジャパリパークの危機と言う言葉にゴリラは反応する。


「あ、アカギツネの言葉を聞いちゃだムギュ!」


 何か余計な事を口走ろうとしたナミチスイコウモリの口をアカギツネが片手で塞ぐ。


「そうよ。ジャパリパークには未曾有の危機が訪れようとしているの。アンタの選択次第でそれを回避できるのよ!」

「お、オレの選択次第で?」

「そう!今こそ自分の縄張りを飛び出して、ジャパリパークの危機を救うの!」

「オレにはそんなことはむ、無理だ!」

「無理じゃないわ!かつて、ヒトが残した言葉には“三本の矢は折れない”!矢の実物は見たことないけど、3人が力を合わせれば不可能な事はないわ!!アタシ達に協力して!!」


 ゴリラは迷った。

 アカギツネが言ってることが本当かどうかは判断は着かない。

 だが、アカギツネの瞳は煮えたぎる情熱が迸っている。


 臆病故に縄張りに引き込もっていた。

 セルリアンが怖くて、外の世界が怖くて……

 だが、このままで良いのだろうか?

 自身の狭い世界にも訪れようとしている危機に対して震えて待つだけなのか?


 いや、違う!


 自分よりも小さなケモノである筈の彼女達ですら勇気を出してジャパリパークの危機に立ち向かっているのだ。

 ストレスで胃を痛めている場合ではない!


「……分かった。そう言うことならオレも協力しよう」

「ありがとうね。アタシはアカギツネ、こっちはナミチスイコウモリ」

「オレはゴリラだ」

「……」


 ナミチスイコウモリは思った。

 ああ、アカギツネの口車に乗せられてトラブルに巻き込まれる哀れなフレンズが増えてしまったと……


「よし!それじゃ一気にジャングル地方を抜けるわよ!」

「おー!」

「おー……」


 こうして新たなる仲間と合流したアカギツネは噂のフレンズ型のセルリアンを追う。


「アタシ達の戦いはこれからよ!!」


 打ち切りになりそうなセリフと共にアカギツネ達はジャングル地方から旅立った。

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