第80話 旅館で一泊

 神出鬼没のトラブルメーカー

 何やら凄まじい異名だが、これがアカギツネに対する評価らしい。

 オオウミガラス等の海岸や海に住んでるフレンズは知らないことが多いようだが、アカギツネは相当有名なフレンズのようだ。


 セグロジャッカルも以前にアカギツネの巻き起こすトラブルに巻き込まれて酷い目にあったらしい。

 その反面、アカギツネには困ったフレンズに積極的に手を差し伸べる親切な面もあり、一概にただの厄介者とは言えないようである。


 そう言えば、遊園地では悪夢の騒音を撒き散らして、ナミチスイコウモリが被害を受けていたか。

 たぶん、私のところへ来たのがナミチスイコウモリだっただけで、実際の被害はもう少し多かったかもしれない。

 セルリアンが物理的に昇天するレベルの歌は今後一切聞きたくないものである。


 さて、次はセグロジャッカルが持ってきたマンガについてだ。

 何故、マンガを持ってきたのか聞いてみるとセグロジャッカルは以前に司書にマンガや絵本を読んでもらったことがあり、懐かしくなって持ってきたようだ。


 絵が主体のマンガや絵本ならば、文字を知らなくても雰囲気で話の流れが分かるので、フレンズでも読めると言うことなのだろう。


 今回は文字を読める私がいるので、二人に読み聞かせるような形でマンガを読むこととなった。


 今回、セグロジャッカルが持ってきたのはカエルの宇宙人が主役のギャグマンガ。


 ふと、マンガを二人に読み聞かせながら思ったのだが、宇宙人がこの土地に来たらどうなるのだろうか?

 まだ、存在も確認されていない宇宙人ではあるが、居るか居ないかと言われれば私は居ると思いたい。


 宇宙人はフレンズ化するのか、もしくは人と判定されてフレンズ化しないのか興味がある。


 それと、何故かジャパリパークに宇宙人の概念が残っているのも不思議だ。

 宇宙人はジャパリパークにおいて大きな空飛ぶ何かでやってくる存在と言うことになっているらしい。

 ここへ漂流ではなくヘリか飛行機でやってきたら、もれなく私も宇宙人だったのか。


 その時、私は閃いた。


 これだけ広大なジャパリパークを移動するのに果たしてバスや船だけで移動しきれるだろうか?

 いや、同じエリア内ならまだしもエリアを跨いでの移動となれば、バスや船だけでは時間が掛かり過ぎてしまう。

 ならば、より機動力のある乗り物、ヘリか飛行機があってもおかしくはない筈だ。


 つまり、以前の例の異変が起きた際にジャパリパークから避難する場合は港ではなく空港を利用した可能性もある。


 私は日記の空いてるページを破って、そこにヘリと飛行機の絵を描く。


 二人にこのどちらかを見たことがないかと聞いてみると、セグロジャッカルから有力な情報を手に入れることが出来た。


 ヘリはジャングル地方で見掛けて、飛行機はサバンナ地方で見掛けたと言う。


 なるほど、ちょうど私達が訪れた事の無い地方に存在していた訳か。


 次の目的地は決まった。

 だが、今はゆっくりと休むことにしよう。

 明日からはツンドラ地方からの帰りの旅がある。


 砂漠地方の時と同様に一度寮へ帰って、一週間程間を開けてから出発しよう。

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