第78話 館内探索

 最後に温泉から上がると皆ロビーにあるテーブルを囲っている。

 どうしたのかと思って近づいてみるとテーブルの上にバスケットに盛られたジャパリまんが置いてあった。


 どうやらボスがジャパリまんを運んできてくれたらしい。


 ボスがここに来たと言うのか!


 私は急いで周囲を探すが、ボスらしきフレンズの姿は何処にも見当たらなかった。

 取り逃がしたか……


 ボスが居たのは私以外が温泉から上がった直後くらいらしいので、その後一時間も浸かり続ければ跡を追えなくなっても仕方がない。


 色々とジャパリパークの秘密を握っていそうな存在なので、是非とも情報を聞き出したいのだがどうしても会えない。

 私の言葉を聞いたアデリーペンギンが会えないのは逆に珍しいですねぇと言う。


 どうもボスはフレンズがお腹を空かせていたり、困っていたりすると何処からともなくやってくるのだそうだ。

 困っている私の目の前に現れないのは、きっと私がフレンズではないからだろう。

 だが、フレンズであるオオウミガラスといつも一緒にいるので出会えそうな気がするが……


 そこどオオウミガラスはとある事に気が付いた。


 私と出会って以来お腹を空かせたことも困ったことも殆ど無いかもだそうだ。


 なるほど、フレンズが困っていないからボスが現れないのか……

 空腹の場合にも現れるらしいが、どの程度空腹になれば現れるのか聞くと、動けなくなるくらいお腹が空けば間違いなく現れるそうだ。

 命の危険があるので空腹で呼び寄せるのは却下。

 では、何か困り事は無いかと聞くと、この場にいる全員が特に困っていないと言う返答が来る。


 まぁ、そんなものか。


 私も困っているとは言え、切羽詰まっている状況かと言えばそうでもないし、小さな困り事があれば結局自己解決してしまう。


 ボスとの出会いは運に任せるしかないだろう。


 ジャパリまんを食べ終えた私達は各々好き勝手に行動することとなった。

 ペンギン達とイッカクは自身の縄張りへ、オオウミガラスは部屋でゴロゴロ、セグロジャッカルと私は館内の探索へ。


 旅館内部は至って何処にでもあるような作りをしており、アーケードゲームや卓球台等の娯楽施設も存在している。


 セグロジャッカルとは別行動をしているので、二人で遊ぶ物は出来ないがアーケードゲームならできそうだ。


 この旅館に置いてあるアーケードゲームは5体のキャラクターを選択して出撃し、敵と戦いながら右端のゴールを目指すゲームのようだ。


 今は遊んでいる場合ではない。


 ゲームを中断して探索を続行すると、旅館の倉庫と思わしきドアに辿り着いた。

 カウンターで宿泊室以外で使うであろう鍵の束も入手していたので、倉庫を開けられる鍵はないかと一つずつ試していく。


 四つ目で正解に辿り着き、倉庫のドアをゆっくりと開ける。


 明かりを着ければ中身は至って普通の倉庫であり、旅館で使用する備品などが納められていた。


 その中に一つだけ私の視線を釘付けにして止まない物体がある。


 赤色のフォルムに短いホースのような口が付属しているポリタンク。

 それは大抵の場合は液体燃料を入れるために使用されている。

 私は大喜びで赤いポリタンクに飛び付いた。

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