日記外その16 セルリアンと噂
ねぇ、知ってる?
そんなセリフを頭に置いて、フレンズ達の間ではとある噂が広まりつつあった。
「フレンズ型のセルリアン?また、随分と昔の話を持ち出すのね。あれっていつの間にか居なくなっちゃったんでしょ?」
「え、あれって本当に居たのか?って、ちがーう!私はこの前見たんだぞ!フレンズ型のセルリアン!」
そこは遊園地の一角。
アカギツネとナミチスイコウモリが椅子に座りながら談笑していた。
テーブルには良く熟れた果物が置いてあり、アカギツネがそれを頬張りながらナミチスイコウモリの話を聞いている。
「それ、私のイタズラ道具だぞ」
「別に良いじゃない。いくらでも取れるんだし」
「うー、最近彼処に白い奴が住み着いて果物が取りにくいんだよ。喋らないし、こっちを見付けると突然追い掛けてくるから、な……」
ナミチスイコウモリは砂漠地方に通じるトンネルの途中にある盆地で果物を採取している。
ナミチスイコウモリを追い掛けているのは謎のフレンズにクーちゃんと呼ばれているフレンズの事だ。
何故、ナミチスイコウモリを追い掛けているのかはクーちゃんのみぞ知る。
「新しい子かしら?まぁ、それより続き話なさいよ。モグモグ」
「この前の夜、果物取りに行ったら木の影に誰か隠れていたんだ。あの白い奴かと思って脅かそうとそっと歩いて行って……わっ!って驚かしたら、なんとフレンズ型のセルリアンだっんだぞ!食べられるかと思ったぞ!」
「良く見分けられたわね。フレンズ型のセルリアンって普通に見たくらいじゃ見分けが付かないらしいわよ」
「どう見てもセルリアンにしか見えなかったぞ。顔の部分にはあのでっかい目玉が付いてたからな」
「じゃあ、別物かしらね。とりあえず、無事で良かったわ」
「私の驚かし方が上達したからな。セルリアンもビックリして逃げ出したんだぞ!」
「変なセルリアンね。普通のセルリアンは驚かないし、逃げないわよ」
「そうだった、か?」
アカギツネは腕を組んで目を瞑り、しばらく考えてからポツリと呟いた。
「これは異変ね」
何か嫌な予感がしたナミチスイコウモリは音を立てないようにそっとアカギツネから離れようとしたが、少し遅かったようだ。
「これはチャンスよ!異変を解決すれば一気にヒトへ近付く筈だわ!ナミチーも手伝いなさい!」
がっつりとマントを捕まれてナミチスイコウモリはアカギツネから逃げることが出来ない。
「い、嫌だぞ!アカギツネはいつもそうやってトラブルを起こすからな!」
「アンタのイタズラも似たようなものじゃない」
「イタズラとトラブルは全然違うぞ!はーなーせー!」
「協力者を集めるわよ!まずは弟子1号を探しにじゃんぐるちほーへ行くわ!」
「アカギツネみたいなのがもう一人いるのか!?誰か助けてー!」
遊園地にナミチスイコウモリの助けを求める叫びが響き渡る。
しかし、その叫びは誰にも届かず、段々と遊園地から遠ざかりジャングル地方へと消えて行くのだった。
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